関西でも国際婦人デー記念の集い開催
小さな島の大きな闘い


 関西の「国際婦人デー記念の集い」は、ネット上に公開されている沖縄の基地の拡大、新基地の建設計画反対の運動の映像と、「小さな島の大きな闘い」と題した南川潤の報告、討論で構成された。
 冒頭に司会より〈森友学園問題で、教育勅語を教える教育が進められていたことが暴露された。新指導要領で道徳教育で評価される、国の役に立つか否かが評価基準の教育が押し出される事態が迫っている。米トランプ政権の成立をはじめ世界中が大きな変化に見舞われている。戦争前夜という情勢である。まさに戦争前夜、一九〇四年三月八日、婦人参政権を求めて女性たちがニューヨークでデモを行ない、それを受けて一九一〇年の第二インターナショナルの国際会議で、平和と自由をスローガンとする国際婦人デーを設けることが採択された。昨年末に先島諸島への自衛隊配備をテーマと決めて以降、抵抗する側も、また圧力をかけてくる側も動きが急であった。沖縄返還以前からの闘いが新たなステップに入っている。遠いけれども、われわれの闘いが培ってきた思想に、先島諸島の人々の柔軟な闘い、深い生き方が貴重な示唆を与えてくれる。現地の映像を紹介しつつこの集いを進めたい。〉とあいさつがあった。

急速にすすむ経済の軍事化

 南川報告の概要は以下のとおり。〈トランプ政権成立以後、日米同盟の再確認の名の下に辺野古米軍基地の建設が自衛隊が直截建設機材をヘリで運ぶなど、ピッチをあげた。まさに集団的自衛権の行使である。前年度比実質わずか〇・六%成長のGNP、債務残高一〇四九兆円の経済状況は、アベノミクスの失敗を示しているのと同時に経済の軍事化を促している。軍事費は前年比五%(五兆円余)増。トランプ政権の要求もあり防衛大綱の前倒し実施が検討されている。装備の増強とともに、大学との共同研究の予算を増加させ、これに日本科学者会議、各大学が反対を表明している。南西諸島への自衛隊配備の急展開は尖閣列島問題のためとマスコミなどは報じているが、実際には台湾有事など中国を仮想敵国とした戦略を立て、そのための早期警戒網の整備が目的である。また、有事の際、米中両国が核兵器を以って直接対決するのを避けるために、沖縄周辺、あるいは日本主要四島地域を戦場とした低強度戦争が想定されている。〉

「命どぅ宝」を力に

 〈宮古島では、沖縄防衛局が策定した当初のミサイル基地建設計画を水源地を汚染することを指摘し撤回させるのに成功した。戦争を経験した女性たちの力、「命どぅ宝」を力として闘いを進めている。辺野古、高江の闘いの先頭に立ってきた山城博治さんの闘いの構想力は、映像にも明らかなように、替え歌、それぞれの人の体力まで考えた柔軟な戦術の提起など学ぶ点は多い。〉
 討論では、「知的所有権を多国籍企業の独占物としようとしている、日本、米国、韓国とこれに反対、対抗する中国、インドのせめぎ合いの構造がある、その線が琉球弧、すなわち第一列島線である。」との意見が提出され、帝国主義同盟諸国と中印両国との利害対立が浮き彫りにされた。
 オスプレイの配備は、大陸への渡洋作戦のためではなく、琉球弧、本州を戦場として想定する戦略があり、演習が行なわれているからである。「わが町、わが村」が戦場になるのは、遠い国のことではない。このことが記憶に刻まれた集いであった。 【中野哲明】

(『思想運動』999号 2017年4月1日号)