国際婦人デー東京集会開催 ――戦争・貧困・過労死の根を絶とう!
東京集会ルポ 〝一億総活躍〞NО! 戦争への道NО!
資本主義に女性の未来はない
基調報告はソビエト憲法の意義強調
三月四日、文京区男女平等センターにおいて、二〇一七年の国際婦人デー東京集会が、開催された。基調報告は、集会実行委員の倉田智恵子、標題は「進行する戦争体制と女性のたたかい」であった。
基調報告では、本年がロシア十月社会主義革命の一〇〇周年にあたる記念すべき年にあたり、資本主義の危機は日本の労働者人民が陥っている現状にあらわれているとの指摘があった。四〇%の労働者が非正規労働者であり、子どもの貧困率が一六・三%、社会保障は削られているにもかかわらず、他方では、大企業の内部留保は三七八兆円にも達する。わたしの身近でも貧困が当たり前に存在する。もはや資本主義の存在を許すこと自体が悪だ。保障打ち切りのもと帰還のみが強要される福島の被曝地帯の人びとの現状や原発の再稼働と輸出がある。沖縄新基地建設・南スーダンへの「自衛隊」派兵・武器輸出解禁・軍事産業育成などが、朝鮮・中国脅威論をあおって推進されている。帝国主義は戦争なしには生き延びることはできない。「慰安婦」問題についての日韓「合意」は、天皇制の戦争責任の否定であり、今日にあっても日本帝国主義は、アジアの人民を苦しめている。さらには安倍の改憲への意欲はまったく衰えていない。
「ソビエト憲法が日本国憲法に与えた影響」の項では、日本国憲法を起草した一人であるGHQ民政局のベアテ‐シロタ‐ゴードンの業績が取り上げられた。彼女は、ソビエト憲法から大きな影響を受けた。一九三六年成立の「ソビエト社会主義共和国連邦憲法」では、男女平等および働く婦人の権利、母性や子どもへの手厚い保護条項がある。
「自民党日本国憲法改正草案」の第二四条には、「家族は互いに助け合わなければならない」とある。家族制度のもとでの女性の立場や天皇元首制の復活および「公益及び秩序」の擁護を考えれば、「改憲草案」の女性差別・女性蔑視は明らかである。他方では、家族や地域の共同体の崩壊はすさまじい。そのなかで求められる「女性の活躍」社会とはいったい何なのか。家庭では家事・育児・介護を担い、男性労働者の賃下げによって家計を担って働かなければならない。報告者は言う。「一体女子労働者はいつ休むのでしょう」と。
戦後資本主義国の社会保障についても、ソビエト憲法の影響が指摘された。資本主義国および途上国の労働者階級の闘いや帝国主義諸国の社会主義国への対抗関係によってこれらの国々においても保障されてきた制度が、新自由主義のもとで破壊された。わたしは、いま社会主義世界体制が存在した時代に帝国主義諸国の労働者階級が権力を獲得する闘いに成功することができなかった歴史を明らかにし、明日への指針とする必要を痛感している。
報告者は、最後に一九一一年の最初の国際婦人デーのスローガン「軍国主義と搾取に反対し平等な地位と人間らしい扱いを」をふたたび掲げて、社会主義をめざして闘おうと呼びかけた。
もうひとつの国際社会の見方を提示
富山栄子国際交流平和フォーラム代表の報告「だれが国際社会をつくっているのか? 大国の支配層か、全大陸に生きる諸国民か」は、他では聞けない貴重な報告だった。
nuclear developmentの訳語は、普通「原子力開発」と訳されるのにイラン・朝鮮民主主義人民共和国の場合は、「核開発」と訳される。朝鮮のミサイル発射に対して、国連安保理は報道声明を出して非難するが、アメリカとその同盟国の核開発については容認する。支配者の意図を描く「国際社会」にたいして、「私」はどこにいるのか? が問われなければならない。「大方の予想に反してのまさかの二〇一六年のできごと」の項では、英国のEU離脱・トランプ勝利・韓国の大統領弾劾・シリアのアレッポの解放が挙げられた。そこでは、EUが帝国主義諸国の銀行の利益を代表して、ギリシャや南ヨーロッパ諸国の労働者・人民を搾取していること、シリアのアサド政権によるアレッポの解放が中東の平和に貢献するということなどが語られた。
「挑発―日本および周辺をめぐる最近の軍事動向」の項では、日米韓の軍事演習が列挙されたが、切れ目のない実戦さながらの演習の数にも驚かされた。誰がこの地域の緊張を煽っているかという疑問への回答がここにある。南シナ海の中国との領有権をめぐる争いでフィリピンのアキノ大統領が仲裁裁判所に提訴した問題では、この裁判所の裁判官構成のでたらめさや費用負担の不公正が暴かれた。ドゥテルテ大統領のもとで判決は棚上げにされ、、対話への方向転換によってこの海域でのフィリピン漁船の操業ができるようになった。二月十四日、マレーシア警察は「十三日朝に北朝鮮国籍の男性死亡」と発表したが、殺害に使用されたといわれるVXは猛毒であるにかかわらず他に被害者がいないなどおかしなことがたくさんある。
中南米情勢では、フィデル‐カストロの死を乗り越えてキューバの社会主義建設の前進と諸困難を乗り越えての南米統合の前進が述べられた。全体として、米主導の戦争体制の後退が見られ、中国・ロシアを中心とするユーラシア経済同盟(旧ソ連五か国)およびアジア・インフラ投資銀行が発展するユーラシア時代の到来が語られた。
歌と朗読につづき闘いの報告
第二部は、歌と朗読で始まった。歌は、「旗は歌う」「はじめのことば」「統一戦線のうた」「憎しみのるつぼ」「共に生きる町」「最悪の敵」、朗読と相まってよく練習された歌声は、会場を盛り上げた。ロシア革命の闘争歌「憎しみのるつぼ」に胸打たれた。本紙の紙上でマヤコフスキーの詩を読んだ。躍動するロシア革命の様子が眼に見えるようで感動した。革命運動には芸術運動が必要不可欠であることに遅ればせながら気がついた。歌と朗読は、集会の成功にとって不可欠だ。
「闘いの報告」では、在日韓国民主女性会の金好子さんが、「在日コリアンの闘い」と題して報告した。在日韓国民主女性会では、昨年十一月に結成三〇周年を祝賀した。
二〇一五年十二月末に強行された「韓日合意」には「不可逆的解決」の文言があったが、歴史にこの言葉は存在しない。一〇億円をばらまき、少女像の撤去を求めるとは言語道断である。在日本朝鮮民主女性同盟とともに、「韓日合意」の白紙撤回を求めて共同声明を発表し、在日韓国居留民団に面会を求めたが拒否された。民団は、すみやかな合意は在日同胞の死活問題と言い切る。怒りを押しとどめることができず、ふたたび両者で抗議声明を出した。釜山に設置された少女像が、合法化されるといううれしいニュースがあったが、いま少女像の設置が広がり、小中学生の小遣いや市民からの募金によって六〇体以上建立されている。
「韓日合意」によって韓日米の軍事体制が強化されている。三月一日から始まった韓米合同軍事演習は、第二次朝鮮戦争策動であり、許すことはできない。わたしたちは、五月には在外国民として選挙権を行使する。朝鮮半島での両国の和解と統一、韓国労働者の解放、在日の解放を求め、連帯して戦争策動と闘おう!
HОWS受講生日向よう子さんの報告「沖縄・反基地の闘い」は、山城博治さんの釈放を求めるアピールから始まった。山城さんが、沖縄の闘いのために「パリの五月」の替え歌をつくり、その歌がいま日本全国に広まっている。その歌の四番にうたわれている「島々の暮らしを守りぬくために」という歌詞の「島々」は、奄美・宮古・与那国・石垣であろうが、沖縄・琉球弧全体と聴くこともできる。沖縄では、高江・伊江島・辺野古がトライアングルとなって、オスプレイが飛びまわる。米軍は辺野古新基地建設によって、他の基地とつなげて海と陸を支配し、自衛隊とも一体化する。済州島には、米軍と共同使用する韓国海軍基地がつくられた。東アジア一帯での米軍の動きを監視し、抗議の声を挙げなければならない、と。
在日朝鮮人でもない沖縄出身者でもないわたしが、在日の権利を擁護し、アジア太平洋戦争の歴史的歪曲や沖縄の新基地建設に反対するのは何故か? それによってこそ日本の労働者の未来が開かれると信じるからである。わたしたちが低賃金に甘んじ搾取を容認すれば、沖縄や在日の人々にしわよせがいくということが、安倍政権によってますます明らかになった。人民を分断させない団結が必要だ。
闘争中の仲間からのアピール
全労協全国一般東京労組・フジビグループ分会の中原純子さんは、フジビの闘いへの支援を訴えた。昨年十月、共闘会議は東京高裁および東京都労働委員会の不当判決にひるまず、一か月の連日座り込み行動をつづけた。フジビの闘いは、報道によって全国に広まり、経営者の意に反して、注目を浴びることとなった。
四月十三日には、独占禁止法の下請け法違反で、わたしたちが東京地裁労働部に訴えた裁判の判決が出される。これほど生産力が拡大したというのに、世界の労働者は貧困と飢餓のなかにいる。資本主義の行き詰まりは明らかである。女性労働者が先頭に立ち、労働者の解放をかち取ろう!
もう一つのアピールは、「福島原発被ばく労働災害損害賠償裁判を支える会」中村泰子さんから。被曝労働者であるあらかぶさんの裁判に対して、原発による被曝労働者への損害賠償が認められない現状を怒りをもって語り、支援を呼びかけた。もうひとつは、「原子力民間規制委員会」から四国電力に対する抗議への支援要請であった。
「世界労連書記局」「在日本朝鮮民主女性同盟中央本部」「労働社会科学研究所(韓国)」からのメッセージの紹介があり、デモに出発した。【阪上みつ子】
(『思想運動』998号 2017年3月15日号)
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