国鉄闘争三〇年 2・17集会ひらく
理不尽に抗するたたかいの原点
〈国鉄分割・民営化から三〇年 国鉄闘争を今後の労働運動の教訓とするための2・17集会〉が二月十七日、東京・四谷区民ホールで開催され、四五〇名の労働者が結集した。一九八七年国鉄が解体、六つの旅客会社と貨物会社に分割・民営化され、JR七社が発足した。JRによる採用差別を受け、国鉄清算事業団に送り込まれたなかの一〇四七名とその家族、支援共闘者が、解雇撤回を求め勝利的和解を二〇一〇年にかちとるまでの二四年間。その軌跡を知らないで育つ世代が現役労働者の多くを占めるようになったいま、「国鉄闘争の総括から労働運動の再生を」との切実な願いとともに、プロレタリアートとは何か、その闘いとはどういうものかという思想と経験が込められた集会であった。
怒りや悔しさを団結の力に
最初に司会の唐澤武臣・国労書記長が、困難をきわめた闘いを人としての尊厳をかけ闘い抜いた団結への確信と、支援共闘への讃辞を述べ、集会は幕を開けた。
次に、呼びかけ人あいさつとして坂口智彦・国労委員長がこの三〇年を振り返り、正当な労働組合運動ゆえに国家・資本ぐるみで仕掛けられた不当労働行為の標的になり、その苛酷な弾圧のなかで二〇〇名余の労働者が自死した。労働者とその家族の怒り、苦しみ、悲しみを共にするなかで、幹部請負いでない現場の一人ひとりの闘い、仲間を裏切らない団結が成果を導いたと語った。
来賓あいさつでは、民進党の佐々木隆博・衆院議員が、現在のJR北海道の廃線問題から国鉄分割・民営化の不当性を指摘し、公明党の弘友和夫・元衆院議員が、とりわけ解決金交渉の過程で土壇場で踏ん張れたのは、音威子府闘争団との交流での家族の顔が浮かんだからだと強調した。角田義一・元参議院副議長は、国鉄闘争の健闘を讃え、このたたかいを安倍政権をつぶす野党共闘へ結集させることを呼びかけた。
なぜたたかいつづけられたのか
「国鉄闘争の総括と教訓」と題して、鉄建公団訴訟で主任弁護士をつとめた加藤晋介弁護士が講演した。二〇〇五年の鉄建公団訴訟の勝利は、「四党合意」によって生じていた混乱や対立を乗り越え、運動側が再結束する四者四団体の結成へと大きくかじをきる歴史的なものだった。「わたしは国鉄闘争に関わり、また国鉄労働組合をみていて、この国の原理は、そして労働組合の原点はここにあるんだと思った」。その原点とは、「人は飢えてはいけない、みんなで助け合い生活する。職場を民主化して皆で生き残ろう」ということであり、この原理こそひとりひとりを起ちあがらせ、ひとりひとりをつなぐエネルギーであるとの加藤さんの言葉は、国鉄闘争を総括する言葉として力強く響いた。
加藤さんは米国の凋落、社会主義体制の解体をはじめとしたここ三〇年余りの世界の秩序の変化に触れながら、歴史の大きな転換点に国鉄闘争、国鉄分割・民営化があったのだという認識を示した。戦後労働運動・反戦平和のたたかいの中核としてあった国労。資本主義のやりたい放題をおさえる重しであったゆえに、資本主義経済構造の矛盾がいよいよ強まると、その息の根をとめるために、国鉄分割・民営化が仕掛けられた。この国の形を根本からかえようとする攻撃は、違憲・違法の限りをつくし、熾烈を極めたことがあらためてとらえかえされた。
国労―総評―社会党を解体し憲法改悪の地ならしをするという資本家階級の明確な目的意識で強行された国鉄分割・民営化から三〇年たった現在は、かれらの狙い通りとも言える状況だ。しかし、それを絶対に認めずたたかいつづける人たちとその経験が残っている。それを成果として次世代に引き継いでいこうと呼びかけた。
金澤壽・全労協議長のあいさつにつづき、北海道と九州から駆けつけた元国労闘争団、そして元全動労争議団の方々が壇上に上がり、佐久間誠・元鉄建公団訴訟原告団事務局長、渡部謙三・元全動労争議団副団長が代表して決意表明し、JRの無責任体制を厳しく糾弾した。
まとめのあいさつに立った二瓶久勝・元国鉄闘争共闘会議議長の、国鉄闘争の成果と教訓を引き継ごうとの呼びかけは、そのたたかいの種子を受け取った者の課題として参集者の胸に刻まれただろう。集会の最後には、参加者全員が立ち上がり、内田泰博・元国鉄闘争共闘会議事務局長の音頭で団結がんばろうを行なった。【米丸かさね】
(『思想運動』997号 2017年3月1日号)
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