沖縄の運動への異常な政治弾圧
山城議長を即時釈放せよ!
防衛省沖縄防衛局は、辺野古・大浦湾の臨時制限区域に汚濁防止膜を設置するおもりとして、一一~一四トンの大型コンクリートブロック二二八個を海底に投入しようとしている。場所は漁業権の設定された漁場であり、大型コンクリートブロックの投入には知事の岩礁破砕許可が必要だが、沖縄防衛局は二〇一四年八月に仲井真前知事が許可した範囲の外に、ブロックを投入している。
一月十三日には名護漁協に漁業権を放棄させる契約を結び、いまの許可の期限が切れる三月以降、翁長知事への許可申請を回避しようと目論んでいる。
大型コンクリートブロックの投入は、汚濁防止膜設置から海上作業ヤード設置、そして埋立て土砂投入に護岸の新設と、工事が「本格化」することを意味する。また沖縄防衛局は、カヌーや船の抗議行動を妨害するため、海に危険な鉄製の棒やロープ付きの浮き具を設置し「海上フェンス」に仕立てようとしている。
キャンプ・シュワブ内ではコンクリートを製造するプラントを建設して工事を加速させようとしている。だが海ではカヌーや抗議船による、陸では座り込みによる非暴力の阻止行動が果敢に取り組まれている。最高裁判決と「強固な日米同盟」をふりかざして弾圧と違法行為を繰り返し、知事権限を奪っても新基地建設を強行する安倍政権を断じて許すな。沖縄現地との団結を固めよう。 【編集部】
昨年九月六日の福岡高等裁判所那覇支部多見谷裁判長の下での辺野古判決は、新たな米軍基地建設を認め「沖縄差別」を助長する仲井真・前沖縄県知事による公有水面埋立申請承認を合憲・合法とし、翁長沖縄県知事による承認取り消しを違法とするものであった。
これにほくそ笑んだのは安倍首相、稲田防衛相、菅官房長官の面々であった。この裁判の主席判事である多見谷寿郎は、これまでにも政府を代弁する判決を各地で書いてきた札付きであり、同僚である陪席判事の一人とともに、政府によりこの判決を書くために送り込まれたといっても過言でない人物である。わが国では、つとに司法の独立は失われているが、十二月二十日の最高裁判決はそれを一歩進め、司法が政府の弾圧機関になり下がっていることを明白にするものだ。政府による司法を利用した沖縄県への政治弾圧を許してはならない。
この間、欠陥機オスプレイの墜落、別のオスプレイによる嘉手納基地での胴体着陸、AH12米軍攻撃ヘリコプターの農道への「不時着」など在沖米軍による大小の無視できない事故が相次いでいる。沖縄県による米軍、日本政府への抗議は無視され、「安全が確認された」として危険な訓練が沖縄全土で強行されている。安倍政権の翁長県政への対応は虐待そのものでありサディスティックでさえある。日本人民はこのような日本政府の態様を恥じるべきであり許してはならない。
政治弾圧は、高江のオスプレイヘリパッド基地建設や辺野古新基地建設反対運動を現地で闘っている市民にも容赦なく加えられている。現地反対運動のリーダーの一人である山城博冶氏は、こじつけとしか思えない些細な理由で逮捕され、小出しにした罪名によりすでに四か月近くの長期勾留が続いている。山城氏は悪性リンパ腫と闘病中であるにもかかわらず、沖縄県警は接見禁止のみならず不当にも保釈金のつり上げも画策しているという。見せしめ的な人権無視の政治弾圧は醜悪であり、決して許してはならない。すでに文化人グループやいくつかの団体が多数の署名を携え、山城氏らの釈放を求める要請書を那覇地裁に提出しているが、山城氏の勾留はさらに長期化する可能性がある。
政府による沖縄県、新基地建設反対運動に対する弾圧の過酷さこそが、この攻防を政府が警察国家としてこの国を変質させる試金石とみていることを示している。沖縄県、山城氏ら現地反対運動と連帯し、新基地建設中止の勝利まで強固な闘いを構築しよう。【岡本茂樹】
(『思想運動』996号 2017年2月15日号)
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