壊憲NO ! 96条改悪反対連絡会議が労働者集会ひらく
労働者・労働組合が反戦に起つ意味


 十一月二十九日、「戦争へと続く道NO! 労働者一歩前へ! 11・29安倍内閣打倒 労働者集会」が、壊憲NO! 96条改悪反対連絡会議(以下:連絡会議)の主催で東京・文京区民センターにて開かれた。戦争への道がいまなぜ、どのようにつくられようとしているのかという問いは、いまなぜ、労働者に「一歩前へ」と呼びかけるのかという、この集会を貫く問題意識と切り離せない。困難な状況をどう切り開くか、次の一歩を準備する充実した集会だった。
 最初に、連絡会議共同代表の山口正紀さんからの主催者あいさつで、第一次安倍政権からいまにいたる壊憲の動きがどうエスカレートしてきたのかがとらえ返された。状況は厳しい。抵抗し続けるための正確な危機感をもとうとの呼びかけに力づけられた。

戦争への労働者動員体制 

 講演は、飯島滋明さん(名古屋学院大学教授・戦争をさせない1000人委員会事務局次長)が「戦争へと向かう安倍政権の治安体制づくりをゆるすな!」と題して行なった。政権の意に抗する個人・組織を弾圧するための治安体制づくりが、沖縄で先行してしかれる一方で、特定秘密保護法、盗聴法と合わせて新設がねらわれている共謀罪や憲法への国家緊急事態条項導入など本格化している。
 戦争は国と軍隊だけではできず、官民労働者の協力体制と反対者を抑え込む治安体制が不可欠で戦争動員により労働者の生活・信条の自由が奪われると話した。だからこそ職場生産点で抵抗することは、戦争体制づくりにとって痛手であり戦争を止める現実的な可能性をつくる。職場生産点に働きかけ力づけてゆくことが迂遠に見えても必要な、歴史の動線に働きかける運動だという思いを強くした。
 労働者・労働組合が力をつけ市民運動と連携することが重要であるとの講演の結びが力強く響いた(講演全文は、姉妹誌『社会評論』一八七号に掲載予定)。
 次に、各労組・団体からの決意表明で、東京全労協副議長・中原純子さんは、「戦争の犠牲になるのも、戦争を止めることができるのも労働者」だと述べた。この集会のテーマそのものを言い当てる言葉だろう。労働者が厳しい職場に身を置きつつその目を世界に放とうとの言葉は、中原さんが当該のフジビ闘争の厳しいたたかいを背景に発せられる言葉として力強かった。英国EU離脱などに象徴される新自由主義政策の弊害に対する人びとの我慢ならなさの表出と、日本の労働者・農民の苦境の根のつながりをとらえ、地方との連帯を追求したいと話した。
 国鉄闘争の経験と教訓を活かす千葉県共闘会議議長・堀川久司さんは、自身の千葉県高等学校教職員組合の経験を語り、三五年前県立高校に採用されたときは「組合なんか入るもんか」と思っていたが、そんな自分がいまは組合委員長をしているのは、長年の国鉄闘争支援と職場経験で、労組は本当に大事だと身にしみてきたからだと。職場で一番大切なことは、職場に転がっているなんらかの不都合があるはずで、それをひとり二人三人集まって話をするところからつながっていくのだと。堀川さんの確信に満ちた声がすとんと腑に落ちた。枯草もないような職場で、もう一度種をまき水をやる行動とは、そういうことなのだろうと。

沖縄と労組

 最後に沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック事務局長・木村辰彦さんは、沖縄のたたかいと労働運動をつなぐことの意味を切々と語られ、会場の多くの人が胸を打たれずにはいなかっただろう。本土の労組が職場の労働条件をたたかうことすら厳しい中で、職場問題と沖縄差別を一体のものとたたかっている。やっと一人の仲間が沖縄へ行き労組の旗がひるがえる、かれ・彼女が現地に行くためには、その背後に多くの仲間の支えと団結があることを沖縄現地の人びとは見ている。
 「本土」でもっと組合が前面にでて市民運動と協力すれば、政府の攻撃をはねのけられると語った。この日、沖縄平和運動センターにも家宅捜索が入り、沖縄の闘いをつぶすためにその中軸の労組弾圧までにいたっている。この間東京のたたかいでもやっと労働組合が前面に出てくるようになってきた、一七春闘と沖縄闘争をさらに一体のものとすることが呼びかけられた。さいごに、団結がんばろうで閉会した。 【米丸かさね】

(『思想運動』993号 2016年12月15日号)