沖縄ですすむ日米一体化の阻止!
たたかいで平和をかちとろう
十一月七日、沖縄県うるま市沖の浮原島(うきばるじま)で、初めて安全保障関連法に基づく日米共同訓練が行なわれた。「重要影響事態」発生の想定のもと、航空自衛隊那覇基地を飛び立ったCH47大型輸送ヘリに乗った自衛隊と米軍が、墜落した米軍機のパイロットに見たてた人形を救助して搬送した。
安保法制強行採決前の二〇一五年八月十二日に、うるま市伊計島沖で起きた米軍ヘリ墜落事故でも、陸自の特殊作戦群所属の自衛隊員二名が定員を一名オーバーした状態で同乗していた。日常的に漁が行なわれている海域での事故だったが、この安保法制を先取りした日米共同行動の詳細や事故の原因はいまだ公表されていない。沖縄の人びとの生命に直結する事故の再発防止どころか原因も曖昧なまま、日米の一体化が沖縄の軍事負担を増大させながら着実に進められている。安保法制の強行採決がすでに沖縄の人びとの命をより危険にさらす結果となって現われ始めている。
ひきつづく米軍犯罪
うるま市の二〇歳の女性が元海兵隊員の軍属に暴行され惨殺された事件の発生から、半年以上がすでに過ぎた。いまも毎月のように米軍がらみの犯罪が起きている。
在沖米軍トップの四軍調整官は女性暴行殺害事件を受けて、五月二十七日から「寄り添い、哀悼する期間」を設けたと発表し、米軍人には基地外での飲酒や祝宴と午前零時から五時までの外出を自粛させ、軍属にも強く促すとした。だがそのわずか一週間後の六月五日未明に嘉手納町で、嘉手納基地所属の米海軍兵二等兵曹が飲酒運転で国道を逆走して正面衝突し、二人に重軽傷を負わせる事故を起こした。さらに同二十六日にも沖縄市で飲酒運転で事故を起こした同じ嘉手納基地所属の軍属が逮捕された。
四軍調整官は「綱紀粛正」期間が六月二十八日に終了したら、従来の深夜外出と基地外飲酒についての行動指針「リバティー制度」に追加して、階級を問わず午前一~五時の外出を禁止した。だがやはりその後も米兵・軍属の犯罪は絶えることがない。
もう七月四日には午前四時半に北谷町で飲酒運転した嘉手納基地の空軍二等軍曹が逮捕され、同二十三日にもやはり北谷町で嘉手納基地の兵長が酒気帯びで一時停車の車両に追突して逮捕された。八月には十七日に那覇市でキャンプ・シュワブ所属の海兵隊員三等軍曹が、二十一日にはまたも北谷町で嘉手納基地所属の空軍兵長がそれぞれ飲酒運転容疑で逮捕された。北谷町では九月二十一日未明にも嘉手納基地の陸軍上等兵が飲酒運転容疑により逮捕された。
十月三十日には、キャンプ・フォスター所属の海軍三等兵曹が通りすがりの男性の首を絞めたり羽交い絞めにするなどして逮捕される暴行事件も起きた。十一月十一日には読谷村で、陸軍トリイステーション所属の二等軍曹が、十二日には午前二時二〇分頃、キャンプコートニー所属の海兵隊伍長が那覇市でそれぞれ飲酒運転で逮捕された。中には酒気が検出されても否認したり、リバティー制度に反する時間帯に飲酒した者もいる。重大事件後半年のうちにも、「綱紀粛正」「再発防止」の無意味さが証明されている。また九月二十二日には沖縄島東沖で海兵隊のAV8Bハリアー戦闘機が墜落事故を起こしたが、前述の伊計島での飛行機事故同様、原因の公表もされぬまま事故を起こしたのと同型機が沖縄の空を飛びまわっている。米軍は沖縄の人びとを守らないし、約束も守らない。基地ある限り犯罪はなくならない。
ヘリパッド阻止を
海兵隊の訓練場である北部訓練場の米軍が不要になったヘリパッドを「返還」し、新たにオスプレイ用ヘリパッドを建設する工事が、全国六都府県から五〇〇名の機動隊投入をもって警察・機動隊八〇〇人体制で強行されている。抗議する住民を弾圧し、防衛省沖縄防衛局および業者と搬入資材を文字通り警護している。
運動のリーダーを含め現在五人が不当拘束され、うち一人は刑特法違反がつき、起訴三人となっている。理不尽に圧倒的な力で強行される工事に対し、生命と生活と自然環境とを守るため、非暴力で抵抗する人びとに警察が負わせた怪我は大きくともまったく認めないなかでの不当逮捕だ。たたかいを委縮させる目的は明らかだ。工事現場で過積載や違法な仕様のダンプトラックが横行しても咎められない。希少生物の棲む木々が伐採され森が切り裂かれ抉られ、海を汚しサンゴなどを窒息させる赤土を剥き出しにして工事が進められている。現在N1の二つ、G・Hの四つのヘリパッドが同時並行で予定工期と工法を無視し、急ピッチで環境負荷のより大きいやり方で強行されている。日米政府は十二月二十日に「返還」セレモニーを予定しているという。新ヘリパッドは日本が一七機三六〇〇億円で購入するオスプレイのためでもあるだろう。安保法制化の日米の一体化がさらに進展するだろう。ヘリパッド完成を許してはならない。現場に行こう。日米政府への抗議を強めよう。【日向よう子】
(『思想運動』991号 2016年11月15日号)
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