ロシア十月社会主義革命九九周年記念集会開かれる
集会ルポ いまこそ社会主義が必要だ!
思想闘争の重要性強調した基調報告
十一月五日、東京・文京区男女平等センターで、ロシア十月社会主義革命九九周年記念集会が開催された。二〇一六年度HOWS後期開講企画ともなるこの集会では、冒頭に高岩仁監督の『戦争案内』の上映が行なわれた。綿密な取材をもとに、日本の侵略戦争の社会的原因、および現在も続く大資本によるアジアへの経済的侵略の実態をまとめた記録映像で、上映後の金野正晴さんの解説とともに、戦争の起こる根本原因は資本主義社会の構造にあるということが明らかにされた。それは「いまこそ社会主義が必要だ!」という今集会のテーマと密接にかかわるものだった。
休憩をはさんで、十月革命合唱隊の力強い歌声で「革命のなかで生まれた歌」の数々が紹介された。最後の曲「座りこめここへ」は、一九七八年、国民春闘勝利を掲げて開かれた第一一回働くものの音楽祭に向けて公募されたもので、作者は新潟の全電通労組に属する労働者の今村一男氏。その歌が時を経て、作者のあずかり知らぬところで、原発阻止の経産省前・国会前行動や安保法制反対の集会等で歌われ、沖縄の辺野古や高江で反基地闘争の歌として歌われている。合唱隊に促されて会場全体での合唱となった。
続いて、HOWS事務局責任者の広野省三さんによる『安倍政治の本質と労働者人民の闘いの進路』と題した基調報告が行なわれた。労働者階級人民の闘いには歴史的・階級的・国際的観点が不可欠だとし「資本主義の枠内で問題を根本的に解決することはできない。利潤追求を最大の目的とし、そのためには積極的に戦争を起こす資本主義のシステムを打ちこわすことこそが必要だ」ということが力強く語られた。
一九一七年十一月七日、資本主義から社会主義へ、人類の歴史に新たな進路を切り拓くロシア十月社会主義大革命が勝利した。労働者・兵士・農民による、平和とパンと土地と自由を獲得する闘いだった。その後、第二次世界大戦を経て、社会主義は世界体制に発展するが、アメリカを先頭とする帝国主義による執拗な反共政策の展開等によって一九八九~九一年に苦い「敗北」を喫した。
しかし、社会主義に勝利したはずの資本主義では矛盾が顕在化している。アメリカ帝国主義の力の低下は明らかで、経済でもアメリカと中国のGDPは逆転しつつある。終わらない戦争、貧困に、各国人民は辟易している。しかしその不安や不満を受け止め闘いを前進させる力は現在の労働者階級にはない。
キューバはソ連崩壊後も社会主義の旗をおろさなかった。根本は強固な社会主義思想だ。社会主義は、政治闘争と経済闘争、イデオロギー闘争を基本に据えるが、特に重要なのはイデオロギーだ。権力獲得の後、人民の教育など粘り強い思想闘争が必要だ。キューバでは教育は無償、もちろん男女平等だ。アメリカでも日本でも教育費が高いという声ばかりで、若者が奨学金という名の多額の借金を背負わされている。世界経済フォーラム(ダボス会議)が発表した男女格差で日本は一一一位、キューバは二七位だった。安倍が言う女性活躍などというのは偽りの看板だ。社会主義世界体制の倒壊以降も、さまざまな困難をかかえつつも社会主義建設の実践は、キューバだけでなく、朝鮮、中国、ベトナムでも果敢に行なわれている。社会主義国の労働者は、本来、われわれ日本の労働者の同志だ。しかし、マスコミによる連日の反中国・反朝鮮報道によって、知らず知らずのうちに敵と思い込まされているのが今日の日本の労働者人民の意識状況だ。アジア太平洋戦争の時期にマスコミが果たした役割の検証もしながら、現在のマスコミが果たしている役割をわれわれは厳しく問う必要がある。
日本国憲法は、日本軍国主義の敗戦の結果、勝ち取られた。日本は天皇制の維持のためだけに戦争を続け、沖縄に、そして広島、長崎に甚大な被害を与えた。天皇の戦争責任を裁くべきだとする国際世論は強かったが、天皇は訴追されなかった。象徴天皇を定めた日本国憲法第一条は第九条の戦争の放棄と密接に関連している。日本は軍隊を持たない代わりに、象徴として天皇制を維持できた。しかし日本は極東における反共の砦として自衛隊がつくられ、軍事化が進められてしまった。
「歴史的観点に立って、今現在、辺野古・高江で行なわれている沖縄人民の闘いに学び、それに連なる闘いの重要性を確認しよう。十月革命九九周年を祝うこの日に、ナショナルな視点ではなくインターナショナルな視点で、反帝国主義・社会主義の旗を手放さず、日本と世界の人民の闘いの歴史に連なる、学習と闘いをともに進める決意を固めよう!」との表明をもって基調報告は終了した。
次に、たたかう仲間からの報告として、反原発の闘い(たんぽぽ舎事務局長の沼倉潤さん)、沖縄の闘い(沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックの青木初子さん)、壊憲反対闘争(壊憲NO! 96条改悪反対連絡会議の土松克典さん)の三つの報告をうけた(要旨別掲)。
集会の最後は、「インターナショナル」の合唱で締めくくられた。【藤本愛子】
(『思想運動』991号 2016年11月15日号)
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