朝鮮学校への無償化制度適用を求める「金曜行動」
100回目の行動では1000名が文科省に抗議

生徒たちの訴えは日本人民の闘いの在り方を問うている


 「どれだけ叫べばいいのだろう 奪われ続けた声がある 聞こえるかい? 聞いているかい? 怒りが今また声となる……。聞こえないふりに傷ついて かすれる叫びはあてどなく それでも誰かと歌いたいんだ……。」
 高校無償化制度の朝鮮学校への適用を求める「金曜行動」(午後四時から五時)で繰り返し歌われてきた『声を集まれ、うたとなれ』の歌詞だ。この歌は「金曜行動」で毎回歌われ、十月二十一日も東京霞が関・文部科学省前に集まった一○○○人の歌声となり、一帯に響きわった。
 高校無償化は、民主党政権時代の二〇一〇年度からスタートし、その時からアメリカンスクールや中華学校など四〇校に適用されたが、朝鮮高校だけは排除された。
 朝鮮高校の「無償化」除外に抗議し、制度適応を求める「金曜抗議行動」は二○一三年五月から始まり、十月二十一日ついに一〇〇回を迎えた。
 この日「すべての子どもたちに学ぶ権利を!」「日本政府は朝鮮高校を差別するな!」と、東京・神奈川の朝鮮中高校に通う生徒や東京小平にある朝鮮大学の学生、卒業生、そのオモニ(母親)や家族たち、そして日本の支援者らが文科省前の歩道を埋め尽くした。
 文科省に向かって発せられる若者たちの一人ひとりの抗議の声は、そのまま日本人であるわたしたちに向けて発せられる。かれらは「友だちと楽しく過ごし部活動に汗を流す。ほかの何にも代えることができない日々を送っているが、心の中にはいつも『無償化』の問題が影を落としている」「過去に日本が朝鮮を植民地にした加害の歴史を、消そうという動きがあるのを知っている。だからこそ朝鮮学校生徒だけの問題ではなく、すべての在日朝鮮人の尊厳にかかわる問題だ」と訴える。
 その通りだ。安倍首相を先頭にした右派勢力は、在日朝鮮・韓国の人々の人権を踏みにじり、歴史を歪曲し日本の戦争犯罪を否定することに邁進している。それと軌を一にしてヘイト・スピーチが白昼公然と行なわれ、民族排外主義が煽られている。そして、今まさに戦争への道を突き進んでいる。朝鮮学校の若者たちの訴えを聞き、安倍らの戦争政策と真正面から対決することが、いま日本の労働者・人民が取り組むべき最重要課題であると決意を新たにした。
【村上理恵子】

(『思想運動』990号 2016年11月1日号)