元米海兵隊員による沖縄女性暴行殺害事件を断固糾弾する!
沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックが官邸前緊急行動
怒! 沖縄の闘いのうねりに連なろう


 沖縄・うるま市に住む女性が、元米海兵隊の軍属にレイプされ、殺害された。米軍隊・基地あるがゆえにくり返される犯罪被害は、日米安保体制を維持するために人民に課される必然の犠牲だ。沖縄の人びとの怒りは、日米両政府に向けられるのみでなく、「日米安保体制・基地は必要」と考える「本土」の人間、さらには、「戦後70年間、日本は平和だった」とする、沖縄の人びとや在日朝鮮人を視野に入れない認識そのものを鋭く告発する。
 6月6日(月)には、防衛省前抗議行動(主催=辺野古への基地建設を許さない実行委員会)、19日(日)には、那覇で行なわれる沖縄県民大会と、それに呼応した国会前大行動(共催=総がかり行動実行委員会、辺野古国会包囲実行委員会)が呼びかけられている。今後も取り組まれる緊急行動等への参加を呼びかける。「本土」が変わるために、大衆行動への参加と日々の生活とを結びつける運動のありかたへの追究が求められている。 【編集部】

 5月25日、沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック主催で「諸悪の根源の基地を撤去せよ! 5・25官邸前緊急行動」が開催された。緊急の呼びかけにもかかわらず、首相官邸前には、400人が集結した。
 わたしは沖縄での、20歳の女性の行方不明の報道が気になっていた。女性は元海兵隊員によって強かんされ、殺害され無惨に捨てられていたのだ。女性はウォーキング中に襲われた。ごく普通の日常生活が沖縄では死と隣り合わせだ。
 「沖縄は、政治の道具立てのひとつではない、と言いたい」と、緊急集会司会者の怒りの言葉で集会は始まった。
 女性団体(I女性会議・アジア資料センター他)、平和団体(総がかり行動実行委員会、平和フォーラム)、労働組合(全労協、郵政産業労組他)、市民団体(沖縄の闘いと連帯する東京南部の会他)の各々から哀悼の意を表した発言が相次いだ。国土面積の0.6%の沖縄に全国の74%の米軍専用施設が集中し、沖縄に犠牲を強いる差別政策をゴリ押しする安倍政権であるが、それを許しているのはわれわれだ。軍隊のそばで生活しなければならない沖縄の大変さを自分のことと考える発言にわたしは共鳴した。
 当日の25日、沖縄では、嘉手納基地第一ゲートで「事件を繰り返させない」緊急集会に4000人が集結した。
 沖縄県議会は米軍による女性殺害事件に対し①遺族への謝罪と完全な補償、②米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設断念、③在沖米海兵隊の撤退を求め、決議した。来月19日には、那覇で10万人規模の県民大会も計画されている。官邸前集会の終わり間際に、沖縄平和運動センターの山城博治議長と電話がつながり、「基地を撤去し、軍隊を追いだすまで闘う決意だ」と、熱のこもった声が届き、参加者の賛同の拍手が大きく官邸前に響いた。
 兵士は人間だが殺人訓練や戦場で、もはや人間性は抹殺され殺人マシン化する。軍隊と住民は共存できないことは、沖縄の歴史を振り返ればわかる。1955年、6歳の幼児が米兵に虐殺された。いくつか具体例を挙げると、59年の宮森小学校への米軍機墜落事故では、小学生11名を含む17名がなくなった。66年金武町で女性を殺害、ベトナム戦争当時はコザ市で米兵が女性を殺す事件が多発した。68年読谷村で女性を暴行、殺害、82年名護市で女性を殺害、95年本島北部で3人が小学生女児を車で拉致暴行、列挙すれば紙面を埋め尽くすほど米軍がらみの凶悪犯罪、事故が戦後の沖縄に降り注いだ。
 事件が後を絶たない背景には、日米地位協定の存在がある。今回は公務外の犯罪で、日本側が逮捕したので、地位協定の制約に伴う支障は出ていないが、米側が拘束していた場合、日本側が要請できる起訴前の身柄引き渡しには強制力はなく、米側が拒否した例もある。「事件を起こしても守られる」との米軍・軍属の特権意識があるため事件・事故はくりかえされる。
 沖縄の人びとはいくたび悔し涙を流し、いくたび悲嘆にくれ、いくたび怒りの抗議と闘いののろしを上げなければならないのか。そんな中「最悪のタイミング」という閣僚の暴言は、オバマ大統領来日直前で日本政府の本音としてもひどすぎる。翁長知事は、安倍首相に、この事件は米軍基地がある故の犯罪であり、オスプレイの夜間飛行など日米合意が守られない実態にもふれ抗議した。そして「命を守るために直接オバマ氏と面接したい」と訴えた。しかし安倍首相は日米首脳会談で「辺野古移設が唯一」と伝え、地位協定の改定にも言及しなかった。
 辺野古新基地建設を断念させるために、わたしたちも沖縄のうねりに連なろう。最後にシュプレヒコールで声を合わせて集会を終えた。【大館まゆみ】

(『思想運動』981号 2016年6月1日号)