3・5国際婦人デー集会に参加を!
戦争反対、壊憲阻止! 女性の力で平和を
日本軍性奴隷制をめぐる日韓両政府による「合意」は、被害当事者が一貫して求める公的謝罪とそれにもとづく賠償要求等を黙殺するものであり、戦争犯罪の法的責任を決して認めない日本政府のこれまでの姿勢を貫くものにほかならない。
しかし『朝日』の世論調査では、今回の「合意」について3分の2が賛成・支持。「安倍内閣は責任を痛感してお詫びをし、金も出した。もうそれで十分だ」というのが大方の評価だ。それは右派議員・学者が「祖先、日本を辱める合意は絶対に認められない」などと言って、安倍と基本的な考え方をともにする立場から活動することよりも、根深い問題をわたしたちに投げかけている。すなわち、いかに多くの日本人が、日本の戦争責任と向き合ってこなかったのかと。日本帝国主義がおかした性奴隷制度は、凄惨きわまりない戦争犯罪だ。しかし、その真実が敗戦後隠ぺいされ続け、多くの日本人が知らずに今に至るという事実そのものもまた、すさまじい日本の状況であることを、わたしたちは何度でも自覚すべきだろう。
戦争責任を隠ぺいする嘘とごまかしがまかりとおってきた敗戦後70年間。天皇を頂点とする日本の支配層の戦争責任の放棄、侵略戦争の史実を教えない教育政策、マス・メディアの懐柔と操作、用意周到なこれらの政策によって、今回の「合意」に対する「3分の2の評価」は形成されたのだ。これは、安倍政権の進める戦争体制づくりへの人心の取り込みが十分に進んでいることを表している。かつてアジア各国への植民地支配・侵略戦争のなかで、積み重ねられてきた民族蔑視・優越思想、天皇への忠誠心が、帝国主義戦争を継続させる支えとなっていたように、無意識に現体制を支持する基盤づくりが進んでいるのだ。
安倍政権の経済政策の失敗によって貧困がひろがり、家族の崩壊、生活破壊は深刻なものとなっている。連日報道される、こどもや高齢者への虐待や、貧困がもたらす悲惨な事件は、現政策が生み出す矛盾の証左だ。
矛盾を増大させる一方、安倍政権は、「1億総活躍プラン」などとさも人民に応えるふりをして、同一労働同一賃金の法制化や高齢者の雇用促進、子育て支援などを打ち出した。しかし、安倍の言う「活躍」とは、資本にとって役立つか否か、つまり「活躍」できない奴は死ねという資本の意思に貫かれた、より徹底した搾取強化であり、差し迫る日本資本主義の危機の必死の乗り切り策なのだ。
そのひとつに、3世代同居家族推進のための減税策がある。かつての家制度のような強力なしばりをもつ家族の復活がめざされてもいるようだが、そこにも新自由主義的政策意図が貫かれている。すなわち、高齢者介護も保育も、家族にやらせて社会保障費を極限まで削減すること。また、労働者の40%が非正規雇用(女性は約60%)であるいま、増え続ける自立できない若年層対策としてもある。つまり、手っ取り早いのが家族とともに暮らし続けさせることなのだ。
安倍政権による家族の利用の核心は何か? それは女性の利用である。安倍政権の掲げる「女性の活躍」とは、家族の内では介護・保育の担い手として、外では非正規労働者として、女性の労働力をより安価に搾り上げることで、日本資本主義の当面の危機を切り抜けようとするものだ。一方では今後さらに、軍事産業、武器輸出、原発輸出を拡大しようとしている。日本資本主義には戦争政策・戦争経済で延命をはかる以外に生き残る道はない。
しかし、「慰安婦」問題ひとつをみても、日本人民が、政府・独占資本と闘う思想を共有化し立ち向かうことは困難だ。だからこそいま、主体的に考えるちからを鍛えることが重要だ。そのちからを糧に、より強く豊かなたたかいを創造してゆくために。
わたしたちは、3月5日に「戦争反対、壊憲阻止 女性の力で平和を築こう!」のテーマで集会を開催します。ふるっての参加をお待ちしています。【倉田智恵子】
(『思想運動』974号 2016年2月15日号)
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