安倍政権の暴挙糾弾
知事の埋立て承認取り消しを踏みにじり工事強行

沖縄の闘いを全国の闘いに
                          

  10月13日、翁長沖縄県知事は仲井真前知事による辺野古・大浦湾海域の埋め立て承認を取り消した。それに対し、沖縄防衛局は翌14日には、行政不服審査法にもとづく不服審査請求と、執行停止を国土交通相に請求した。そして27日、国土交通相が執行停止を決定。さらに同日、翁長知事の埋め立て承認取り消しを「違法」と断じる判断のもと、地方自治法に基づく代執行で国が知事に代わって是正を行なうことが閣議決定された。これにより政府安倍政権は行政不服審査の採決に先立って、沖縄県知事による行政処分である埋め立て承認取り消しの効力を無力化し、工事をすぐにも再開させようと目論んでいる。
 埋め立て承認取り消しに対して防衛省沖縄防衛局は、以前の岩礁破砕許可取り消しに対してと同じように、国民の救済を旨とする行政不服審査法を悪用し、国の機関であるのに私人をかたっておなじ国の機関の国交相に、県の処分は不当と救済を求めた。一方で国の専権事項だと基地建設そのものは国の一機関として強行する。やりたい放題の悪質な違法行為がまかり通る、それは沖縄だけではない安倍政権下のわれわれの現実だ。だがそれ以上に、沖縄の状況を変えること抜きにわれわれの平和も民主主義もない。

沖縄からの呼びかけ

 13日の埋め立て承認取り消しによって沖縄防衛局は、辺野古沖や大浦湾の埋め立てに係る作業ができなくなっていたが、こんごは作業を再開してくる。陸と海でのたたかいがより厳しくなる。キャンプ・シュワブのゲート前と、海上行動と、浜のテント、辺野古の三つのたたかいの拠点がより緊張を強いられる。翁長知事が埋め立て承認を取り消した翌日、沖縄防衛局が不当な申し出を行なった日に、たたかいの現場からヘリ基地反対協議会が安次富浩共同代表を通じて緊急声明を発し、座り込みへの参加を呼びかけた(別掲)。声明は翁長知事の国連演説を引き、沖縄の基本的人権や自己決定権を尊重することを通して、それを損なう日本政府に対してともに立ち向かい、新基地建設を止めることを通じて、たがいの地域の自治と民主主義をかちとることを呼びかけている。
 10月25日、東京の団結まつりに島ぐるみ会議を代表して参加した平和市民連絡会の上間芳子さんは、島ぐるみ会議が首都圏近辺で数箇所、キャラバン行動の一環として講演をしたがまだまだ足りない、と沖縄島ぐるみ会議と全国各地域が結びあう共同のたたかいを呼びかけ、さらに安保を廃棄しなければ沖縄の現状を変えられないことをともに考えようと訴えた。同じ日の午後、筆者はオスプレイの横田配備に反対する10・25東京集会に参加した。沖縄平和運動センターの大城悟事務局長は、欠陥機オスプレイが運用規定をまったく無視して高江や伊江島の上空をひどい時は深夜1時までも飛び、住宅地上に不安と恐怖を撒き散らしているとして、辺野古新基地建設が強行されたら沖縄は全基地機能を止めるたたかいを開始する、そのたたかいは横田でも他の陸地の基地でもできると連帯を訴えた。

辺野古へ行こう

 前号で、筆者はオスプレイの旋回訓練を厚木で見たと書いた。補給の経由地であるはずの厚木で、告知もなく、日米合意の規制を無視して行なわれた住宅地上の旋回訓練。沖縄ではそれが常態化し、訓練移転による負担軽減もまやかしと書いた。そのときは各基地を点と捉えていたが、オスプレイは普天間から岩国へ、そして横田や厚木に飛来し、北富士へというように移動する。これは厚木基地を考える会の矢野さんに教えてもらったことだが、北富士の演習場が目的地でも留まる時間がひじょうに短いこともあるという。ならば基地間移動と訓練の境目は曖昧ではないか? 
 厚木で訓練する必要のある操縦士が普天間から厚木まで飛んで来たともいえる。また配備は別であって飛来するだけとしても、そこで訓練や軍事行動や住民に害を及ぼす基地機能の使用があればその地の住民に被害が及ぶ。
 今年5月、2017年度から横田基地に空軍特殊訓練用のCV22オスプレイを配備すると米国防総省が発表し、今月14日、防衛省沖縄局は沖縄県内の訓練場はじめ国内6か所の空域を横田配備のCV22オスプレイが使用すると明らかにした。沖縄では離着陸だけでなく、空対地射撃訓練も行なうという。配備される地域の問題は深刻だが配備されなくても沖縄県民への脅威ははかりしれない。沖縄への新基地建設を止め、沖縄の基地をなくすたたかいに全国で取り組もう。そのたたかいは必然的に日米安保を揺るがす。それができなければ地域の平和は守れないし、憲法破壊は免れない。戦争を止めることもできないのだ。沖縄からの呼びかけにこたえ、沖縄の声を伝え、地域や職場で仲間を募り辺野古へ行こう。そして基地建設阻止を支持する人びとを多数にする運動を足元からつくっていこう。

<追伸>
 10月29日、沖縄防衛局は埋め立て工事の再開を強行した。かかる暴挙を断固糾弾する。現地では「闘いはこれからだ」と結束を固めている。【日向よう子】

(『思想運動』968号 2015年11月1日号)