国際婦人デー3・7東京集会開催
安倍政権の全面的な反動攻勢と対決を
歴史に学び壊憲と戦争に反対しよう!


 3月7日、「2015国際婦人デー3・7東京集会」が都内のSKプラザホールで開催された(集会実行委員会・HOWS共催)。
 今年は第二次世界大戦終結・日本軍国主義敗北から70年目にあたるが、この節目の年、安倍政権は、日本国憲法に象徴された戦後の民主主義・平和主義・基本的人権の枠組み全体の根本からの破壊をめざし、文字通り総がかり的な反動攻勢を仕掛けてきている。それは、集団的自衛権行使容認や改憲の政治日程化の動きなど明文解釈両面での壊憲攻勢、「成長戦略」に名を借りた労働法制改悪をはじめすべての分野で進む規制緩和・撤廃攻撃、沖縄辺野古・高江での新基地建設、「従軍慰安婦」問題を利用した『朝日』叩きに示されたような過去の日本の植民地支配を正当化し戦争犯罪を免責するイデオロギー攻撃、独占資本の要請に応えた原発再稼働や武器輸出・開発政策の推進等々、あらゆる領域でかつてなく強引かつ急速に展開されている。
 そしてこれらの攻撃は、女性たちの安定した生活や労働、平和への願いを根こそぎ否定するものにほかならない。今年の婦人デー集会は、「歴史に学び、壊憲と戦争に反対しよう!」をメインスローガンに、安倍政権のこうした攻撃すべてに真正面から対決していく決意を確かめ合う集会となった。
 しかし弾圧に屈せず、2800名の結集でその日の集会の成功がかち取られたことは、沖縄の闘いの不屈の力を示すものである。その力が、地検に山城議長の起訴を断念させ翌日の釈放にいたらしめたことを確認したい。

基調報告と特別講演

 司会者の開会あいさつのあと、集会実行委員の村上理恵子が「貧困と暴力に終止符を! 闘いは世界の女性とともに」と題して概略以下の内容の基調報告を行なった。
 安倍政権の戦争国家体制作り、世界で一番ビジネスしやすい、すなわち、労働者を支配・搾取しやすい国作りを批判し、団結した労働者が前面に立って阻止していこうと訴えた。改めて安倍政権の傲慢、やりたい放題、そして、労働者・人民がいかにバカにされているかを痛感させる報告だった。
 運動側はどう闘うのか。村上は、JAL不当解雇撤回訴訟の最高裁の上告棄却にふれ、「これは、JAL資本、国、裁判所が一体の組合潰し攻撃だ。職場内の闘いと原告団との結合、それを支える大衆運動の広がりが必須だ。労働者が全力で、束になって闘うことを、権力者は一番恐れている」と強調した。また、全労協・全労連ほか労働諸団体で構成される「安倍政権の雇用破壊に反対する共同アクション」の取り組みについて、「反対集会や抗議行動だけでは到底太刀打ちできない。今こそ、労働者が現場でストライキを構えて闘うことが最も重要だ」と提起した。
 男女雇用機会均等法、労働者派遣法が制定されて30年、政府・独占の思惑どおり、女性は安く都合よく使われ、多くの女性労働者、母子世帯が貧困にあえいでいる。この状況を温存したまま、安倍政権は指導的地位に就く女性を3割にすると言っているが、「これはいっそうの2極化を進めるための施策であり、全女性の地位向上にはつながらない」と指摘し、「社会主義体制崩壊後、世界中で戦争状態、人民への収奪強化が起きている。労働者が憲法を生かし、労働三権を駆使して資本家と対決しよう。搾取、戦争、貧困のない社会、男女平等の社会を実現するためには、社会主義への道を歩むしかない」と締めくくった。
 集会のメイン企画は、VAWWRAC共同代表の中原道子さんの特別講演「今、あなたに語りつぎたいこと――戦争と『慰安婦』」。中原さんは、その中で、ご自分の戦争体験と重ねながら、こんにちの安倍政権による戦争国家化の動きを具体的な事例に即して批判するとともに、「従軍慰安婦」問題での中原さんたちのこれまでの取り組みを踏まえて現状の問題点を浮き彫りにした(詳細は二面要旨参照)。

闘いの現場から

 休憩をはさんで3人の方から闘いの報告をうけた。
 沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック共同代表の外間三枝子さんは、沖縄基地建設阻止の闘いの現状を報告。
 冒頭の「みなさん、辺野古へ行ってください。日本政府が何をやっているのか見てほしい。」この言葉にすべてが込められていた。
 <与那国島で2月に行なわれた住民投票で自衛隊配備賛成が反対を上回ったことについて、「最初から結果はわかっていた」などという人がいて、「何がわかっているのだ!」とひっぱたきたい気持ちだった。与那国は反骨精神が旺盛な島で、市町村合併にも応じず、米軍の掃海艇の寄港を拒否した。戦争体験者もいて自衛隊誘致に反対しており、決してめげない。
 政府幹部は翁長知事との面会を拒否し続けている。なんと恥ずかしい国か! これを差別というのももったいないくらいあまりにも幼稚だ。翁長知事が海上保安庁や機動隊の暴力に抗議するたびに、これみよがしに辺野古の海を痛めつけている。海上保安庁は在京メディアを呼びつけて、沖縄2紙の過剰警備報道は「誤報」と説明し、それを鵜呑みにする本土メディアも信じられない。ぜひインターネットの動画などで辺野古の状況をつかみ、周りの人にも発信してほしい。>
 次に東京朝鮮高校生の裁判を支援する会の森本孝子さんが朝鮮高校生「無償化」裁判支援の取り組みを報告した。<2010年にスタートした高校授業料無償化制度により、すでに39校の外国人学校が修学支援金を支給されているが、朝鮮学校だけ外され、多くの自治体が補助金も廃止した。千葉の学校では先生の給料が払えなくなり、なんとかカンパでしのいでいる。こういう状況を海外メディアは伝えるが、日本では報道されない。2月に朝鮮高校生裁判支援全国統一行動が展開された。東京の集会では、韓国から参加したソン‐ミヒさん(ウリハッキョと子どもたちを守る市民の会)が、朝鮮大学校の学生たちが始めた文科省前「金曜行動」に呼応して、現在韓国でも「金曜行動」や一人でプラカードを持つ「火曜行動」が行なわれていること、これは自分たち同胞の問題だという認識が広がり、この4月から「在日同胞人権集会」が韓国各地で計画されていることなどを報告した。昨年、京都朝鮮学園が在特会らを訴えた裁判の勝訴が確定したことは希望を与えてくれた。「日本の司法に訴えて勝てるわけがない」と言われていたが、子どもの人権の問題なのであえて提訴したのだと原告は話している。
 朝鮮学校で学ぶ権利を政府に保障させるため、ゆがんだ日本社会を変えていくためにも、この運動にともに取り組んでいこう。>
 たたかいの報告の最後は、JAL解雇撤回闘争を闘う鈴木圭子さん(JAL不当解雇撤回裁判原告・CCU)。
 <わたしたち165名は2010年大晦日に不当解雇され、解雇撤回・現職復帰を求めて裁判闘争を闘ってきた。残念ながら、東京地裁でも高裁でも不当判決、最高裁は2月、上告棄却して司法判断を放棄した。
 高裁判決ではJALが解雇時点での余剰人員数を立証しておらず、他に解雇を回避する手段がありながら実行せず、組合敵視による解雇を強行したことが明らかとなった。それにもかかわらず、高裁は会社更生手続き中の整理解雇であるため、解雇は有効とする不当判決を下した。最高裁は、日本で初の会社更生法適用下での解雇について判断すべき司法の役割を放棄した。企業の利益を優先し、解雇自由を肯定する許しがたい決定だ。労働組合が十分に機能しない中、最後の砦のはずの裁判所がこんな状態では弱い立場の労働者は救われない。
 JALは客室乗務員84人の解雇以降、新たに2000人も雇った。不当解雇後、賃金・労働環境の悪化、毎年600人の客室乗務員が退職し、パイロットも170人が辞めている。パイロット不足にもかかわらず、解雇した81人は決してに職場に戻さない。ILOは政府とJALに早期解決の勧告を2度行なったが、何の対応もしない。
 裁判は終結したが争議は終わっていない。さらに大きな運動で日本航空を包囲して解雇撤回を闘い抜く覚悟だ。アルバイトをしながらの争議なので財政支援もお願いしたい。
 どうしてわたしたちが解雇されなければならなかったのか。絶対納得がいかない!>
 主催者から会場カンパの呼びかけがあり、報告した3団体へ3分割して渡された。
 最後に歌と語りで構成された「歌でつむぐメッセージ」が披露された。男声2人、女声3人の合唱団とキーボード演奏、歌と歌をナレーションでつなぐ。密度の高い報告が続いたので、気分が落ち着き和らいだ。
 集会は、安倍政権の攻撃とのまさに最前線で闘う方たちの講演と報告によって、終始緊張感にあふれ、参加者の明日からの闘いの決意を鼓舞する集いとなった。集会終了後、参加者はデモ行進を行ない、道行く人に集会の趣旨を力強く訴えた。 【中村泰子】

(『思想運動』954号 2015年3月15日号)