2015年 年頭にあたって
安倍ブルジョワ独裁政権と闘う、労働者階級の思想を獲得しよう!
「7・1閣議決定」は無効だ!
昨年7月、安倍政権は、「集団的自衛権行使容認」の閣議決定を強行した。それはアジア太平洋戦争の敗北のなかから産み出された「基本的人権の尊重」、「人民(国民)主権」、「国際平和主義」を三大基調とする日本国憲法体制、戦後民主主義をふみにじる、まさにクーデターとも呼ぶべき暴挙であった。それは、明白な憲法違反行為であり、無効である。したがってこの「7・1閣議決定」を前提とした「安全保障法制の整備」にしても、ガイドライン再改定にしても、安倍政権はすべての作業をただちに停止すべきである。
しかし、先の総選挙が自公与党の総議席の三分の二以上の獲得という「圧勝」に終わったことを受け、安倍をはじめ自民党指導部は誰はばかることなくそれらを押し進めると明言している。政府は四月の統一地方選挙の直後にも、関連法案を提出するべく、具体的な立法準備を急ぐだろう。
ブルジョワ支配階級によるブルジョワ法すら無視したこんなデタラメをやめさせる運動が、労働者階級を先頭に強力に組織化されねばならない。
しかしいま、憲法運動全体に、5月までは「政府の立法作業待ち」、「いまは力の蓄えをはかっておこう」といった空気が流れてはいないか。
これでは安倍らの目論む壊憲・改憲は阻止できない。
それは、今回の総選挙での安倍たちの手口、その経過と結果を見ると、はっきりとわかる。安倍たちは、明文改憲、集団的自衛権の行使容認、原発再稼働など、国民の多くから批判が出るであろう政策には、徹底してだんまりを決め込み、争点外しを目論んだ。
そうして「アベノミクス」がいいのか、悪いのかだけが選挙の眼目であるかのように世 論誘導を行ない「勝利」したのである。やつらは、日米ガイドラインの改定を先送りし、集団的自衛権の行使を実質的に可能にする法律の改正や新法なども統一地方選挙の後に提案するという。つまり、われわれは、安倍らがそれを発表するまで、それらの中身を知ることすらできないのだ。そしてその中身が公表されたときには、すでに勝負は決まっているという算段だ。
こうした手口を次の参議院選挙でも使い、参院での三分の二の議席を獲得し、衆参両院で改憲の発議がなされ、改憲のための国民投票が実施されればどうなるか。安倍の兄貴分の麻生が言ったように「ある日、気づいたらワイマール憲法が変わってナチス憲法に変わっていたんですよ。誰も気づかないで変わった。あの手口に学んだらどうかね」というわけだ。
だからこそ、われわれは、関連法や新ガイドラインの最終案が出てこなければ何もできないという待機の姿勢ではなく、それらの徹底的な事前学習を行ない、いまこそ、あらゆる運動の可能性を探って闘っていくべきときなのだ。
政府・独占資本は、マスコミを総動員し、さまざまな懐柔・糊塗・隠ぺい策をめぐらすだろう。しかし、やつらがなんとごまかそうとも、集団的自衛権行使容認の行きつく先は、天皇を戴く国家を目論む「自民党新憲法草案」が示す、全面的な戦争国家体制づくり以外の何物でもないのである。
階級闘争の帰結
国鉄の分割・民営化をはじめ三公社の経営形態を変更するとした1982年7月の第二臨調、第三次答申から33年。資本家階級は、国際競争戦での日本資本主義の生き残りをかけ、労働者階級への反動攻勢を強力に進めてきた。
その後、三公社はすべて民営化され、五現業も林野を除き、民営化ないし独立法人化された。政府・独占資本は、ブルジョワ支配階級の明確な階級意識に基づいて階級闘争を貫徹した。やつらは、30年余をかけて国民の財産を奪い取り、同時に戦後日本の労働運動を牽引してきた公労協の運動を叩きつぶすことに成功したのである。
この、大資本家・経営側による自覚的階級闘争の展開に比して、労働者階級は、無自覚、無力、かつ没階級的であったと言わざるを得ない。1975年のスト権ストの敗北、春闘はこの時以降38連敗を重ねている。スト権ストを牽引してきた公労協運動の中心部隊だった国鉄・全電通・全逓の各労働組合は、総評解体、連合発足を経て、いまや力を失うか、ごく一部の現場活動家の存在を除き、労資協調路線をひた走る御用組合に転落していった。
89~90年初頭にかけて生起したソ連・東欧社会主義体制の倒壊がこの動きにいっそう拍車をかけたのだが、アメリカを先頭とする帝国主義の一元支配、帝国主義の現代版=新自由主義が全世界に猛威をふるった。日本労働運動は、臨調・行革そして搾取・収奪の最大化を企図した新自由主義に基づく規制緩和(搾取収奪規制撤廃)・民営化(M&A推進、私有化の徹底・最大化)・構造改革(搾取・収奪をいっそう強める制度・国家再編)という攻撃に対し、正面切っての闘いを組むことなく、後退に次ぐ後退を重ねた。この敗北の連続・総和が、こんにち政府・独占資本が日本国憲法の改憲を政治日程化させる状況を許しているのだ。
安倍政権は、中曽根康弘、小泉純一郎らがやり残した、資本家階級にとっての最重要課題、すなわち日本国憲法を改悪し、労働者・勤労人民を徹底した無権利状態に追いやり、奈落の底に突き落とそうとしている。労働者派遣法の改悪、ホワイトカラーエグゼンプション(ただ働き残業法)等、止まることのない労働法制の改悪、「地方創生」の名の下での「道州制」の導入、TPP(環太平洋経済連携協定)交渉の推進、軍産複合体を日本経済の中心に据えようという国家改造計画等々。それらの集大成が戦争を否定する憲法九条を無きものにする日本国憲法の明文改憲である。
安倍政権は、中曽根康弘、小泉純一郎らがやり残した、資本家階級にとっての最重要課題、すなわち日本国憲法を改悪し、労働者・勤労人民を徹底した無権利状態に追いやり、奈落の底に突き落とそうとしている。労働者派遣法の改悪、ホワイトカラーエグゼンプション(ただ働き残業法)等、止まることのない労働法制の改悪、「地方創生」の名の下での「道州制」の導入、TPP(環太平洋経済連携協定)交渉の推進、軍産複合体を日本経済の中心に据えようという国家改造計画等々。それらの集大成が戦争を否定する憲法九条を無きものにする日本国憲法の明文改憲である。
労働者階級が壊憲阻止を闘う意味
労働者は、生産現場で自らの労働力を売る以外に生きる術を持たない。一方、労働者が現行の日本国憲法を生かし、労働三権を十全に駆使して資本家と対等に渡り合えれば、自らの経済的要求を獲得するだけでなく、真に社会を変革する闘いの中心部隊ともなりうる。
しかしこんにち、日本の労働者・労働組合の多くが、自らが社会変革の主体であるという自覚と自信を失ってしまっている。この自覚と自信の回復、すなわち労働者が労働者階級としての階級意識・歴史的使命を再認識・獲得していくことが、運動再生の鍵なのである。
労働組合活動家は、たとえ最初は少数派であったとしても、職場・生産点に腰を据え、会社・当局側の不当な対労働者・労働組合攻撃を見抜き、労働組合加入・未加入を問わず、すべての社員・職員の意志を代弁し、多数派を獲得する旗幟を鮮明にして闘いを貫くべきだ。
憲法闘争は、明文・立法・解釈、壊憲・改憲策動のすべての局面でこれと闘い、これを阻止する課題を担う。しかしわれわれは、労働者・労働組合が職場・生産点における課題と結びつけて壊憲・改憲阻止闘争を闘うと同時に、この闘いが労働者階級の組織・理論・思想の強化につながるよう努力したい。つまり、われわれのめざす壊憲・改憲阻止の闘いは、労働者階級が資本主義の枠組みを突き抜けて、労働者・勤労人民の国家建設、すなわち社会主義革命を遂行しうる主体となることをも展望する闘いなのだ。
【〈活動家集団 思想運動〉常任運営委員会】
(『思想運動』950号 2015年1月1日・15日号)
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