「10・17戦争への道をゆるさない東京集会」に結集を
改憲反対闘争を労働運動再生の力に!            

 いま沖縄・辺野古では、海底ボーリング(掘削)調査を強行するため、労働者・人民の反対闘争を、海保・防衛局をはじめとした国家権力が殺人的暴力をもって弾圧している。憲法の国際平和主義、基本的人権、人民主権すべてを破壊する安倍政権の反動的本質がまさに集中的に表わされている。沖縄人民・「本土」からの支援者は、それを決して許さず闘い抜いている。
 同時に、安倍政権の壊憲・反人民政策は政治・経済・社会のあらゆる分野・領域においても勢いを増している。
「集団的自衛権」行使容認「宣言」(閣議決定)に、実効力をもたせるための法整備として、自衛隊法やPKO法などの改定をまとめた「一括法案」の来年通常国会での成立がもくろまれている。
 「日米防衛協力の指針」いわゆるガイドラインの改定作業は着々と進められ、来月上旬にも「中間報告」が出される。

明文改憲を見据えた態勢固め

 安倍改造内閣は、壊憲攻撃の先に、明文改憲を見据える態勢固めだ。
 安倍をはじめ、改憲右翼団体「日本会議」を支持する「日本会議国会議員懇談会」所属議員が八割。侵略戦争肯定、差別・排外主義にもとづく「中国・朝鮮脅威」扇動のデマゴーグたちだ。
 「皇国史観」の権化たちは、ナショナリズムと排外主義を最大限に煽りながら、新たな侵略戦争へと大きくかじを切り始めている。その根本の原動力は、独占資本主義――日本帝国主義のあくなき利害の追求だ。
 改造内閣が最重要課題として掲げたのは、「経済優先」だった。4月―6月期のGDP成長率の大幅減少でアベノミクスの幻想がはがれかかっているからだ。資本主義を前提とするかぎり、「経済再生」の特効薬などあるはずがない。「安倍官邸は、株価(の動き)を相当気にしている」(6月14日『朝日』)。安倍は、労働者人民の生活とは何のかかわりのない、公的年金基金を株に注ぎ込む無謀で無責任な政策に踏み込んだ。株価が上がって喜ぶのは投機に明け暮れている金融資本だけである。
 小額投資非課税制度(NISA)の拡充も取り沙汰されている。非課税枠を100万円から120万円に、子どもや孫名義で口座をつくる「ジュニアNISA」を開設する案もある。株価を吊り上げ、景気が上向いていると言いふらし、来年4月からの消費税の10%への引き上げを何が何でもやり切る腹だろう。

「経済再生」と外交・軍事戦略の一体化

 昨年末策定された大軍拡計画である「防衛計画の大綱」と「中期防衛力計画」を、初めて予算化する防衛省2015年度概算要求は、過去最高の5兆545億円。
 中国による南西諸島への「侵攻」なるものを想定した「離島防衛」を口実に、3000人規模の「水陸機動団」(日本版海兵隊)新設、九州・南西諸島の軍事拠点整備。垂直離着陸輸送機オスプレイ、水陸両用車などの購入など、「集団的自衛権」が先取り的に具現化され、海外侵攻軍としての能力を飛躍的に高める内容だ。日米合同軍事演習を積み重ねる一方、「海賊対策」名目でソマリア沖に派兵されている自衛隊とNATO軍の共同訓練準備が進められている。ウクライナ、中東情勢をにらみつつ、欧米軍と自衛隊との共同戦闘、「集団的自衛権」の実行が俎上にのせられているのだ。
 一方、安倍の「トップセールス」行脚は、のべ54か国。原発、軍需、ゼネコン、金融など企業の頭目たちを引き連れ、ODA(政府開発援助)をばらまき、あるいは円借款を結び、インフラ整備、原発輸出の受注取り付け、軍事交流・協力の強化・促進合意を重ねてきた。4月、武器輸出を原則解禁する「防衛装備移転三原則」策定以降は、政府主導で兵器共同開発・輸出を加速させてきた。
 外務相諮問機関による「ODA大綱」改悪の議論も進められている。軍事的用途への使用を禁止した原則を変え、外国軍への物資供与を認めようとするものだ。
 軍事大国化に伴う装備、兵器研究・開発・輸出、果ては宇宙の軍事開発・利用、軍学共同研究まで、この過程で生ずる需要こそ、独占の求める「経済再生」だ。しかし、こうした経済・外交の急激な軍事化の動きには、日本帝国主義をとりまく内外の危機が如実に表われているのだ。

壊憲攻撃の階級的で全面的な性格

 そもそも資本主義は、海外市場と資源の獲得・拡大、それを担保する外交・軍事力(潜在核兵器を含む軍事的プレゼンス)を国家に欲し、実現させてきた。
 グローバル化のもと、市場と資源の獲得をめぐる資本間の、その後ろ楯である国家間の、激烈な競争戦が展開されている。それに伴い政治的・軍事的な緊張が高まり、帝国主義諸国はよりいっそう軍事力を増強している。
 M&A(合併・買収)の激増、生産の集中、過剰資本の蓄積など矛盾が最大限に拡大するなか、実体経済は縮小の一途をたどる。一方でマネー経済は膨張、国際金融資本は莫大な投機資金でいっそうの経済支配をねらう。
そうしたなか、独占資本主義は生き残るためにマネー経済にしがみつくか、国家の外交・軍事力に寄生するしかない。その要求に応え、代弁者となることで延命する政治権力。ここに、資本と国家の運命共同体の利害はことごとく一致を見るのだ。
 ひるがえって、安倍政権の壊憲攻撃は、日本帝国主義がもはや日本国憲法を廃棄しなければ生き延びられないことの証左である。
 九条は焦点である。だが、壊憲は憲法三原則にかかわるすべての条項に向けられている。いま以上に新自由主義的搾取・人民収奪を強行するためには、憲法を基軸とした戦後体制の、全面的・徹底的な破壊=明文改憲をつうじた「国家改造」が必要なのだ。攻撃の性格は、資本家階級の側から労働者人民に仕掛けられた、全面的性格を備えた階級闘争にほかならない。

労働組合が憲法闘争の前面に立つ時

 資本家に対峙すべき労働者と労働組合。こう書くと、古い教条か、非現実的な願望か、
いう反応を、当の労働者から受けることがある。
 確かに、労組組織率は17.8 %。身近に労組がない、あっても「御用労組」であることが多い。闘い、敗北を重ね、資本の恫喝に従わせられてきた歴史があるといえ、いまや資本と一体化している労組の責任は重い。しかし、そうしたなかでも搾取・抑圧に抗い、声をあげる労働者・労組が確実に存在する。職場という最前線で、資本・国家の労働政策と闘う人びとだ。
 労働者の権利行使を保障する労働組合法、労働基準法、それを保障する憲法の28条(労働三権)。労働者が権利をかちとり行使することは、そのまま憲法の規定する権利を実現することだ。労働者が職場で闘うことは、同時に、憲法の全面破壊をねらう安倍政権・独占資本に対する闘いだ。その持続的なエネルギーをもって、学生・市民と連帯することが、壊憲反対闘争の大きな力になる。そしてその闘いの息吹を職場に持ち込むことが、「もう一度起ち上がろう」という呼びかけとなり労組運動の力にもなる。
 どんなに搾取されても、労働者が個別ばらばらで団結することができず、ストライキで闘うことができなければ、生産拠点は磐石、資本・国家権力はなんの痛痒も感じない。東電も原発も延命できるのはそのためだ。いまこそ職場での団結を求め、それと切り結んだ憲法闘争を闘おう。10・17の集会を、その大きな結集の場としていくことを、みなさんに呼びかける。【米丸かさね】

(思想運動 943号 2014年9月15日号 )