集団的自衛権行使容認の暴挙を糾弾する
隊列を整え改憲反対闘争の新局面へ                   

2014年7月1日、日本のブルジョワ支配階級とその政治的代理人である安倍政権は、日本軍国主義に侵略された経験、その痛みをいまも忘れないアジア各国の反対の声、国会周辺での抗議活動、『読売』『産経』を除く各種世論調査で示された半数をはるかに超える反対の声を無視し、米国とその同盟国の戦争に日本が参戦することを可能とする「集団的自衛権行使容認」の閣議決定を行なった。この行為は、憲法96条に規定された改正手続きすら踏むことなく、一内閣の解釈によって9条を死文化させるという立憲主義を無視した憲法破壊の極致であり、白昼公然と実行されたクーデターである。わたしたち日本人民は、全世界の反ファシズム勢力の力によって勝ち取られた日本国憲法の三大規範の一つである国際平和主義が、ふたたび軍事大国化路線を突き進む資本家階級とその政治指導部によって食い破られた日、その屈辱の日として2014年7月1日を銘記しなければならない。
しかし、いま展開されている憲法破壊攻撃は、こうした軍事的側面にとどまらない。安倍政権の政治・経済・社会の全分野での全政策は、軍事大国化の動きと連動して、いわば日本国家の全面的な改造計画として構想・推進されている。それは、国会で圧倒的多数の議席を持つかれらの強みという面もあるが、その根底には、資本主義の根本的矛盾を解決できない、したがって労働者人民への矛盾の転嫁、強権・弾圧政治しかとりうる道がないという、かれらの猛烈な危機意識がある。
GDPで中国に追い越され、経済は低迷し、すさまじい人口減のシミュレーションが報じられている。そういう中で、「世界で一番企業が活動しやすい国」づくり・各種特区の推進、東アジアでの新たな帝国主義主導の貿易体制づくりを目指すTPPへの参加、消費税増税と大企業減税の強行、年金・医療・社会福祉関連予算の縮小、教育への国家介入の強化、中国・朝鮮を仮想敵国と見立ててのナショナリズム・戦争挑発策動、歴史問題をめぐる中朝はもとより韓国をも相手にした対決路線、特定秘密保護法制定の強行、さらには労働法制の度重なる改悪(成果主義賃金制度導入論を明記した「新成長戦略」はすでに閣議決定されている)と年収200万円以下の層の意図的拡大などなど。これらが相互に結び合い、かれらの危機意識に根差して、徹底した金持ち優遇、ブルジョワ独裁体制の維持・強化という一点でまとめあげられ、推進されているのである。
そうした一方で、福島第一原発事故の責任追及・原因究明と被災者への補償は完全にサボタージュされ、原発再稼働に驀進し、あろうことか安倍を先頭に、「積極的平和主義」の一環として原発輸出の官民合同国際売り込み団が全世界を行脚している。そして沖縄では、辺野古への巨大な新基地建設が、沖縄県民の明確な反対の意思を無視し、強行されようとしている。
われわれは、「集団的自衛権行使容認」の閣議決定をなした今次安倍ブルジョワ独裁政権の暴挙を押しとどめることはできなかった。その弱さをわれわれは直視しなければならない。しかし、安倍の路線に日本人民の未来はない。安倍らとともに「地獄への道」を歩むことを、われわれは拒否する。秋の臨時国会をめぐる大衆闘争、日米ガイドライン再改定に反対する闘いが控えている。さらにマスコミでは、安倍らは、集団的自衛権行使の関連法案の提出を来年の通常国会に先送りし、来春の統一地方選挙以降に一括して審議する方向だとの報道がなされている。その理由として、みずからの強硬策による内外の反対の声を前に、秋の福島県知事選、沖縄県知事選や、来春の統一地方選への影響を考慮し、さらに年内に消費税10%への引き上げを判断しなければならないこと、などが指摘されている。
そのスケジュールと主導権が安倍政権に握られていることは、動かしがたい事実だ。この閉塞状況に風穴をあけようと、いま「労働者・労働組合が改憲反対闘争の先頭に立とう!」を合言葉に、10月17日・日比谷公会堂での大集会が企画されている。われわれはこうした呼びかけに積極的にこたえ、隊列を整え、改憲反対闘争の新局面に進み出よう。 【編集部】

(『思想運動』940号 2014年7月15日付)