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戦争をとめよう! 貧困をなくそう!
生活に欠かせない食料品や電気などの異常な価格高騰が続いている。食品の値上げは一昨年15%、昨年17%で、今年はすでに17%の上昇が予測されている(帝国データバンク)。昨年の春闘では30年ぶりの賃上げ水準を勝ち取ったというが、あくまで大企業中心のうえ値上げラッシュの中で実質賃金は低下を続けている。上場企業は3年連続で最高益をあげ、株価も史上最高値を更新したというが儲けを労働者に還元していない。株価や地価の上昇はわたしたちの感覚や実体経済とはかけ離れていて、すべての矛盾が労働者にしわ寄せされている。賃金の支払いに向けられるべき利益が、国内の超低金利を避け高金利・高利回りの海外の金融商品に投資されて円安を加速させ輸出産業の大儲けにつながっている。多くのものを輸入に頼っている日本では、円安は物価高に直結し労働者に恩恵はない。
資本主義の行き着く先は貧困の深化
資本主義はその体制を維持するために人民が貧しいままでいることを欲する。雇われる以外に生きていけない、低賃金で働く労働者が必要なのだ。また都市の利益のために地方の貧困が形成される。原発や公害企業、軍事基地を押しつけるためだ。そして自然災害が起これば打ち捨てられる。能登半島の復興について「過疎地の集約」が言われており、政府財界は住民の生活を元どおりにすることは考えていない。日本経済に影響がない範囲内の復興でいいのだ。各地で鉄道の赤字路線の廃線が相次いでいるのも、人びとの暮らし・生業を顧みないという点で同じ構図だ。
資本主義社会の行き着くところは貧困の深化だ。低賃金の労働者が増え労働力の再生産ができない事態になる。少子化はその証左だ。子育ても老後の生活も自己責任を強いられ、憲法25条に保障された生存権が脅かされている。
そしてもっとも貧困に陥りやすいのが女性だ。「年収103万円の壁引上げ」=「手取りを増やす」という詐欺的レトリックで議席を増やした政党もあったが、税制はそれほど単純なものではない。そもそも最低限の生活を営むに足りない所得者からも税金を徴収するという仕組みは「女・子ども」は誰かに養われるものということが前提なのだ。女性活躍という欺瞞の陰で、特に独身女性、高齢女性、シングルマザーが苦境に立たされている。女は扶養の範囲で働き子どもを産んで、無償の家事・育児・介護労働をしろというのが政府の大号令なのだ。また子どもを産んでも、教育の高コスト化が進んで親子共倒れになりかねず、かつての中間層が没落していく状況だ。昨年の総選挙で与党が過半数割れしたのも自民党の裏金問題に対する市民の怒りがあったからだ。欧州で移民排斥などを訴える極右政党が支持を拡大しているが中間層の閉塞感の表れだろう。日本だけでなく世界で、資本主義、新自由主義の行き詰まり、破綻が起こっている。
大軍拡と戦時体制づくりを許すな
2022年12月、当時の岸田首相は5年間で43兆円の軍事費を投入する計画を含む安保関連3文書を閣議決定した。2025年度予算案での軍事費は過去最大の8兆7005億円に上った。2027年度にはGDP比2%の達成をめざしている。棚上げされてきた財源論議は、ようやく法人税とたばこ税の増税時期が来年4月ということで決着した。今後さらに所得増税などの負担増があることは避けられないだろう。軍事費は文教関係費の2倍以上で大軍拡が暮らしを支える予算を圧迫している。沖縄県内の宮古島、石垣島、与那国島に陸上自衛隊のミサイル基地などの配備・強化が加速している。「台湾有事」の際の避難計画として12万人の島民の九州疎開計画の策定作業が本格化するなど有事即応体制の論議が進められている。平和な島に基地を造り真っ先に攻撃される対象として住民は邪魔だから出ていけという政府の横暴だ。過去の沖縄戦で見られたように軍隊は住民を守らない。すでに基地があることによって日々生命の危機に瀕している沖縄の人びとと連帯しよう。度重なる米兵の性暴力も政府の犯罪隠蔽も許してはならない。
侵略と植民地支配の歷史に向き合う
日本は、日米韓の合同軍事演習や日米にNATO主要国を加えた合同軍事演習を頻繁に行なっている。近隣諸国を威嚇・圧迫しておきながら、中国や朝鮮が攻めてきたらどうする、そんな言説がまかり通っている。近代以降、繰り返し戦争を仕掛けアジア諸国を侵略し植民地支配してきたのは日本ではないか。今年は日本の敗戦、広島・長崎の被ばくから80年だ。被団協のノーベル平和賞受賞は歓迎するが核の脅威は去るどころか増す一方だ。日本は核兵器禁止条約に参加すらしていない。80年間、わたしたちはいったい何をしてきたのか。加害の歴史に向き合わず被害者意識のみに依拠する思想状況が今も日本社会では支配的だ。「首相談話」が発表されるのかが取り沙汰されているが、戦後70年の安倍談話のように「侵略」や「植民地支配」を主語なしで語り日韓併合にも日本軍「慰安婦」にも触れず「お詫び」も他人事、「積極的平和主義」と称して戦争する国づくりをアピールするような内容を許してはならない。
軍事クーデターを阻止した韓国人民
昨年12月3日、韓国の尹錫悦大統領が「非常戒厳」を宣布した。この事態に韓国の多くの人びとと野党の国会議員らがただちに韓国国会前に集まって戒厳軍兵士たちと対峙した。多くの女性たちも立ち上がった。韓国人民には軍事独裁に対する民主化闘争を闘った経験がある。その力でクーデターは短時間で失敗に終わった。日本のメディアは事の本質に触れず日韓関係の悪化を危惧するばかりだが、正しい歴史認識に基づく戦争責任・戦後責任を果たしてこその日本と朝鮮半島との関係だということを明らかにしなければならない。日本には権力者を弾劾する憲法裁判所はないが、韓国の人びとに学び主権を行使しよう。
格差と貧困の元凶資本主義に終止符を
戦争の歴史は資源争奪の歴史だ。スパイスや金に始まり石油・石炭、水資源など、今も紛争が絶えない。米国を筆頭とする「西側先進国」の支持・支援のもとに行なわれているウクライナ戦争、ガザ虐殺など、そのすべてに日本はすでに加担している。世界で人びとを殺している。ガザ地区では1年3か月以上に及ぶ戦闘で、これまでに4万7〇〇〇人以上が殺された。その7割が女性と子どもだ。イスラエル軍の攻撃で破壊された建物のがれきの下に1万人以上が取り残されているとの見方もあり、犠牲者の数はさらに多いと思われる。ようやく停戦合意がなされたが、一刻も早く停戦を恒久的なものにしなければならない。世界経済を支配してきた帝国主義諸国の経済的地位がゆらぎ、現在世界は大きな転換期を迎えている。日米欧など西側諸国の利益と支配のための「国際秩序」を批判し公正・平等・平和を求めるグローバルサウスが力を増している。格差と貧困の元凶である資本主義社会を終わらせよう。
日本に暮らす人びとの圧倒的多数が、なにか社会がおかしくなっている、戦争に向かっていることに不安を感じている。この世の中に不服申し立てをしよう。自己責任を否定しよう。貧困なしにはなりたたない社会を終わらせて完全なる平等を勝ちとろう。労働者が搾取されない豊かさと権力を手に入れれば戦争は起こらない。わたしたちは、反戦平和・女性の地位確立をかかげて、3月8日に国際婦人デー集会を開催する。戦争と貧困の撲滅のためにともに声をあげよう。
【国際婦人デー3・8東京集会実行委員会】 (『思想運動』1109号 2025年2月1日号) |