10・21国際反戦デー行動in福岡でのあいさつ
戦争反対訴え石破政権を打倒しよう!

岡本茂樹(戦争政権に反対し行動する実行委員会)

 みなさん、わたしたちは、10月21日を「国際反戦デー」と呼んで、毎年「戦争反対! 反戦平和!」を広く呼びかけています。いまから58年前、1966年10月21日、当時の日本の労働運動のナショナルセンターであった総評(日本労働組合総評議会)がアメリカのベトナム戦争介入に反対する全国政治ストライキ「ベトナム反戦統一スト」を実施し、全世界の反戦運動団体とともに立ち上がるように呼びかけたことが起源です。ベトナム戦争は、1975年4月アメリカ、米軍が敗北しベトナムから去ることで終結しましたが、その後も世界中で戦争の惨禍は止むことがありません。その戦争のほとんどにアメリカ・米軍が直接または間接に関与しています。2024年10月の今、ウクライナ戦争、イスラエルによるガザ・パレスチナ絶滅戦争、そして日本を含む東アジアにおける戦争の危機、そのいずれにもアメリカそして日本が深くかかわっています。

戦争の継続を望む者

 みなさん、10・21は「国際反戦デー」です。「戦争NO!平和YES!」の大きな声をあげましょう。
 2022年2月に始まったウクライナ戦争は2年8か月を経ても停戦すら実現していません。ヨーロッパ、ウクライナの豊饒な大地でアメリカ・EU・NATOとロシアの代理戦争を長期化させているのは誰でしょうか。戦争継続のためゼレンスキー政権に対して何兆円もの武器援助をつづけるアメリカ・NATO諸国です。それで利益を得るのは、それぞれの国のとりわけアメリカの死の商人たち、軍需産業です。
 昨年10月7日中東でパレスチナ対イスラエルによる悲惨な戦争が勃発し、1年が経ちました。福岡市ほどの広さのガザ地区に220万人のアラブ人を閉じ込め、徹底したパレスチナ人虐殺・絶滅戦争を続けるイスラエル、ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区に国連決議を無視してユダヤ人入植地を拡げているイスラエル、核兵器を所有しながら西側社会から非難されないイスラエル、そのような戦争国家、人種差別政権を全面支援しているのがアメリカです。パレスチナ問題の根源は、中東の植民地支配を終結したイギリスがイスラエルのシオニストに一方的に軍備を委譲して武力によるイスラエル建国を援助し、アラブの人びとをその故郷パレスチナから追放したことにあります。紛争の責任は、アメリカ・イギリスの二国にあります。
 いまわたしたちがなすべきことは何でしょうか。ウクライナでもパレスチナでも毎日何百人もの市民、子ども、女性、そして戦闘員が殺され、負傷しています。ガザではすでに4万1000人以上の市民がイスラエル軍によって無惨に殺され、そのうち1万2000人以上が新生児を含む子どもです。現在のガザの惨状は、まるで原爆を投下された直後の広島・長崎のようです。皆さん、わたしたちは、今こそ「あらゆる戦争に反対する!」「すべての戦闘行為を即時中止せよ!」と世界に向けて叫ぶ時ではありませんか。

戦争が準備されるとき犠牲になる者

 さてみなさん、皆さんは現在の日本の状況をどう思っていますか。安倍、菅、岸田の反動戦争政権は日本の軍事予算を倍増し、国民生活を破壊し、一方政治資金の裏金事件でその金権政治体質が暴露され国民の支持を失う中で、石破新政権が誕生しました。その誕生直後の支持率は42・3%と最低です。
 石破首相は、政権発足後8日目という史上最短の国会解散を行ないました。自らの政策を国会に問うこともせず、裏金事件を隠蔽し、強引に国政選挙でみそぎをするという、旧態依然の自民党による金権腐敗政治を終わらせなければなりません。
 石破茂自民党総裁のこれからやろうとする戦争政策は、これまで以上に日本国民にとって危険です。石破首相は、憲法9条の明文改悪を公言し、敵基地先制攻撃を認めた安保3文書の推進者です。不平等条約である安保条約の日米地位協定を国民の人権確保の視点からでなく、自衛隊の米国本土での訓練の常態化、国内米軍基地の日米共同使用、「アジア版NATO」を提唱し、「核抑止」から「核共有」という実質的核保有政策まで踏み込んでいます。沖縄はじめ全国各地で米軍による性暴力事件が相次いでいることなど眼中にありません。石破内閣には歴代防衛大臣が重用され、その危険な性格を表しています。
 みなさん、本来なら今は来年の国家予算を国会審議する大事な時期です。石破政権は、それを投げ出し総選挙で国民をごまかそうとしています。石破自公政権は、2025年の100兆円を超す概算要求の中で、8兆5000億円余の軍事予算を要求しました。その中には、①敵地に届く長距離ミサイルの開発・配備、②敵地探索用の小型軍事衛星の打ち上げ・配備など周辺諸国を刺激し、挑発するものさえあります。
 30年におよぶ国民給与所得の低迷と貧困の拡大、医療福祉予算の削減、教育予算の削減、昨今の物価急上昇、少子高齢化対策には財源不足という名目で目もくれず、軍事予算だけは天井知らずの拡大です。大企業がため込んだ600兆円という内部留保金にはまったく手を付ける気がありません。石破新政権による、「軍事最優先、国民の命と暮らし軽視」、は明確ではありませんか。

では戦争を止めることができるのは誰か

 10月27日の総選挙投票日を挟む、10月23日から11月1日まで日米統合共同軍事演習「キーンソード(鋭利な剣)25」が全国32か所の港湾・空港を使用して行なわれます。全国47都道府県で実施要綱も出ています。日本全土を戦場とみなし、自衛隊3万3000人、米軍1万2000人のほかオーストラリア軍、カナダ軍も参加する大軍事演習です。皆さんもどこかで目にするでしょうし、マスコミは大々的に宣伝するでしょう。演習では、攻撃・防御訓練、負傷兵搬送、島民避難など多岐にわたる実践訓練が行なわれます。与那国島からは日米のオスプレイによる危険な島民避難訓練が予定され、自衛隊員輸送に民間フェリーが使用されます。沖縄県の基地負担軽減どころか、沖縄県を戦場にする軍事演習です。このような軍事演習は、国民を守り東アジアの平和を守ることとは正反対で、友好善隣を進めるべきアジアの諸国を刺激、挑発し軍事的緊張を高めるもので、必ず大きな非難を浴びることになります。
 みなさん、沖縄県伊江島の非暴力反戦農民活動家、故・阿波根昌鴻さんはこう言っています。「剣を持つものは剣で滅ぶ、武器を持つものは武器で滅ぶ、核(兵器)を持つものは核で滅ぶ」と言っています。
 いま、世界ではウクライナ戦争、イスラエル・ガザ中東戦争、そして中国、朝鮮、ロシアを敵国とする戦争誘発作戦という三正面戦争政策がアメリカの手によって進められています。そのいずれにも日本はアメリカの手先として関わっています。アメリカ、米軍は直接戦場には来ません。ウクライナ戦争ではウクライナ軍、中東ではイスラエル軍、そして東アジアでは、自衛隊、韓国軍、台湾軍が中国・朝鮮との戦争の矢面に立たされます。みなさん、皆さんの子や孫、若者が戦場で殺し殺されることになります。それを阻止しましょう。その戦争で利益を得、しこたま儲けるのは、アメリカはじめ日本、西欧の軍需産業です。皆さん、軍需産業を儲けさせるために戦争をしますか。「戦争NO! 平和YES!」と声をあげましょう。
 みなさん! 今、九州沖縄各地、日本全国で、世界ではアメリカでも、イギリス、フランスでも、グローバルサウスの国々、国連でウクライナ戦争即時停戦、イスラエルによるパレスチナ・ガザ絶滅戦争中止、東アジアの戦争危機回避の声が若者を中心に巻き起こっています。
 もっともっと、「戦争NO!平和YES!」の声が必要です。

(『思想運動』1106号 2024年11月1日号)