東京から日本の政治を変えよう
共闘の力で蓮舫氏を新知事に


 7月7日に投開票が行なわれる東京都知事選挙。過去最多となる56人が立候補を届け出た。候補者乱立でポスター掲示板の不足や、ある政治団体が寄付者に掲示板を利用させることの是非、政見放送の長時間化などが取り沙汰されている。
 しかしもちろん、重要なのはそこではない。小池百合子都知事の続投を許すのかどうかだ。小池知事は2期8年の実績と胸を張るが、本当に都民のための政治が行なわれていたのか。
 知事が「レガシー(遺産)」と自賛する東京オリンピック大会は、経費の膨張やコロナ禍での開催をめぐり批判も多かった。1年遅れで強行された後には、贈収賄や談合の容疑で大会組織委員会の幹部らが相次いで起訴され有罪判決を受けている。都は大会経費1兆4000億円のうちの6000億円を投じたが、大会のために建設された6会場の「ハコモノ」はほとんどが赤字だ。その赤字は都が埋め続ける。また、元選手村の「晴海フラッグ」は、都が主にファミリー層向けにと整備したマンション群だが、転売目的の投資家などの応募が殺到し、抽選の最高倍率は266倍にもなった。都は制限を設けたと言うが、結局のところ2割近い住戸が賃貸や転売されている。大手デベロッパーや投資家が儲けただけだ。
 明治神宮外苑の再開発事業は、樹木の伐採や高層ビル建設などをめぐり、多くの都民が反対している。批判を受けて事業者は伐採予定本数を少し減らしたが、そもそも住民に説明不十分なまま、都が一部区域を公園指定から外し、高さ制限を緩和して高層ビル建設に道を開いたのが発端だ。
 都庁舎壁面などに豪華な映像を投影するプロジェクションマッピングには、48億円の税金が投入される。その都庁の足元では、市民団体が毎週実施している食糧支援活動に800人近くが集まるという。
 一方、コロナ対策で大きな役割を担った都立・公立病院の独立行政法人化を強行し、1年半で19病棟629床を休止に追い込み、保健所はひとつも増やさず不足のまま。PFAS汚染源の解明や血液検査にも背を向けている。
 また、朝鮮学校への都の補助金は停止したままで、関東大震災での朝鮮人虐殺への追悼文も中止したままだ。歴史修正主義と差別的民族観が窺える。
 一貫して、人の命や暮らしよりもカネ、が徹底している。都民の暮らしや生活環境には無関心、大型開発推進、財界の利益優先、これを転換させなければならない。地方自治体本来の役割は「住民の福祉の増進を図ること」(地方自治法第1条の2)なのだ。
 4月に日米首脳会談が行なわれ、在日米軍の戦時の指揮権を持つインド太平洋軍司令部の機能を東京・横田基地に移転する可能性が報じられた。小池都知事は公約で、ミサイル攻撃を受けることを前提にした「地下シェルター」整備に言及したが、それが都民の安全を守ることになるのか。
 自民党が独自候補を擁立せずに小池都知事の支援にまわった。公明党も同様だ。小池都政は自公政権となんら変わるところがない。政府の軍拡・戦争国家政策を後押しし、都民の生活破壊の政策を突き進んでいる。
 東京都の予算総額は、スウェーデンの国家予算と同じだという。巨額の財源を持ち、政官財やメディアが集中している東京。東京が変われば、国の政治の流れを変えることができる。派閥裏金問題に代表される一部の既得権益のための自民党政治、アメリカ追随の軍事大国化をやめさせよう。日本の政治を東京都から変えていく絶好の機会だ。東京都にお住いの家族・友人・知人へ、新しい東京・新しい日本の政治をつくるための投票行動を呼びかけてほしい。

【藤本愛子
(『思想運動』1102号 2024年7月1日号)