国際婦人デー3・9東京集会 戦争をとめよう! パレスチナ人民と連帯を!
ルポ 国際婦人デー3・9東京集会
諸報告、詩よみ、デモで反戦をアピール


 3月9日開催の国際婦人デー東京集会の諸報告のうち、金淑美さん(朝鮮新報社編集局政治部部長)の特別報告要旨、「たたかいの現場から」の鈴木圭子さん(JAL被解雇者労働組合)、菊池麻衣子さん(全国一般全労働者組合)、山野澄子さん(沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック)の3人の報告要旨は本紙に、本藤ひとみさん(集会実行委員会)の基調報告、国際連帯メッセージは今号の付録に掲載する。 【編集部】

 3月9日、東京・文京区民センターにおいて、国際婦人デー3・9東京集会が開催された。「戦争をとめよう!」の集会テーマを視覚的にもサポートするように、会場には、反戦・平和、沖縄基地建設反対やイスラエルによるパレスチナ虐殺に抗議するため、90歳の女性が率先し協同で手作りしたという旗やプラカードなどが壁や机にセッティングされていた。司会者(米丸かさねさん)は開会あいさつで、この集会が1979年から続けられ今年で46回目となり、毎年「反戦平和・女性の権利確立をかかげて全世界の女性と連帯しよう」をモチーフ(主題)にしてきたことを述べた。戦争で多くの女性・子どもの生命が犠牲になっているだけではなく、女性も戦争に加担させられた歴史もあり、日本が戦争責任を十分果たさず、植民地支配が起因ともなった朝鮮戦争は南北分断と、今なお戦争継続(休戦)状態を生じさせている。現在、政治家の裏金問題が糾弾されているが、その裏側で、日本はジェノサイド国家イスラエルを背後で支えるアメリカに加担し、莫大な「防衛」費を投じて沖縄の軍事要塞化や武器輸出を進めている。反戦平和と女性の権利確立を不可分のものとしてめざし、今集会では各現場で闘っている女性たちの報告を受けたい旨が述べられた。
 最初に、集会実行委員を代表して、本藤ひとみさんが基調報告を行なった。世界で起きている紛争の根本には、帝国主義による植民地支配の継続や新自由主義政策がもたらす構造的暴力と差別がある。わたしたちが、それにどこまでも追随していくならば、女性の権利や平和は実現しない。労働者・人民が力を合わせ行動することを呼びかけた。
 基調報告の後、特別報告として朝鮮新報社編集局政治部部長の金淑美さんが「日米韓の軍事一体化と朝鮮の立場」と題して話された。プロジェクターを使い、朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)では、3月8日は祝日として定められ、女性が感謝と敬意を示されるなど、写真をスクリーンに映し出し、エピソードを交えて紹介した。そして近年顕在化してきた米国の一極覇権の没落と多極化の流れを後押しするため、朝鮮が反帝国主義・自主独立路線を貫きながら、重層的な対抗軸を作りだし、米欧支配の頚木を脱する未来世界をめざしていることが述べられた。
 休憩の後、「劇団もっきりや」による詩よみで、反戦の詩が披露された。たとえば、エドナ‐ビンセント‐ミレーの「平和とは どこかで進行している戦争を知らずにいられる、つかの間の優雅な無知だ」などとよんだ詩では、「どこか」ではなく、今の日本で急速に進められている戦争準備について人民がほとんど知らされず、知ろうともしない現状を「つかの間の優雅な無知」として痛烈に批判していた。ほかに、高良留美子や石川逸子(「あなたに」・「あの子」)、吉行理恵、ラフィーフ‐ジアダ(「私たちはいのちを教えているのです」)、石牟礼道子などの詩がよまれた。時流に迎合せず、人間性を模索・探求して悪戦苦闘してきた門岡瞳さんと杉浦久幸さんの声が胸に響き強く心を揺さぶった。
 詩よみの後は、たたかいの現場からの報告で、初めに、JAL被解雇者労働組合の鈴木圭子さんが、2010年に日本航空によって不当解雇されてからの闘いと、今年1月2日に羽田空港で起きた、海上保安庁機とJAL機との衝突事故について、経験から考えられる原因を指摘し、安全に対してものを言ってきた組合を排除しようとした経営側の在り方を糾弾し、争議の納得のいく解決に向けて支援を求めた。
 続いて、全国一般全労働者組合の菊池麻衣子さんは、労働組合が反戦運動を担う理由などについて語った。ストライキを迷惑がる風潮もあるが、労働者が働かなければ社会が止まるということは、政治がおかしかったら、それを止める力があるという証拠である。労働者が団結して、差別や戦争に反対していきたいと述べた。
 たたかいの報告の最後に、沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックの山野澄子さんは、沖縄がまるで日本の植民地のように踏みにじられ軍事要塞化され、しかも地方自治を崩壊させる違法な代執行が行なわれても、全国メディアはほとんど報じないことを強く非難した。それでも諦めず抗議行動を続け、多くの人に参加を求めていきたいと話した。
 最後に集会に寄せられた各国・団体からの連帯メッセージの抜粋を読み上げ全プログラムを終了しデモへと移った。
 集会参加者は、デモ行進のため、会場に飾り付けられていた旗やプラカードを手に取って外に出た。強い春風が旗を大きく揺らした。マスコミは報じないが、世界各地では、数万・数十万人という数でパレスチナへのジェノサイドに対する抗議デモが行なわれている。しかし有名無実の民主主義では人民の手には権力がなく、戦争をとめることができない。「戦争をとめるためには、わたしたち労働者・人民が力を持たなければなりません。」という集会基調報告の言葉を思い出しながら、後楽園付近でつかの間の休日をくつろぎながら歩く沿道の人たちにも届くように大きな声で、戦争反対! などのシュプレヒコールを叫びながらデモ行進をした。

【田口ケイ】
(『思想運動』1099号 2024年4月1日号)