横浜で「バイバイ!ノースドックパレード」
ハマの港を出撃基地にはさせない

高梨晃嘉(神奈川二区市民連絡会)

 九月十日(日)に神奈川の一区、二区、三区の市民連絡会などが主催して「バイバイ!ノースドックパレード」(桜木町駅前での集会とノースドックが見える臨港パークまでのパレード)を行なった。 沖縄・南西諸島を戦場に見立て、この地に部隊・物資を運びこむ米軍揚陸艇部隊が横浜港に配備されることを撤回させるための要請署名運動をさらに地域に浸透させる目的で取り組んだ。集会には五〇〇名、パレードには三〇〇名の人びとが参加した。
 集会では、揚陸艇部隊配備反対県民署名実行委員会共同代表の福田護弁護士が「揚陸艇配備は、台湾有事を見据えて、南西地域、南西諸島に物資や部隊を送り込む拠点づくり、横浜港を台湾有事の戦争の拠点にしようとするものだ。」、「横浜市あるいは横浜市議会を含めてはっきりした態度をとっていない。遺憾であると言っているだけ。『遺憾』じゃないんです。絶対に配備させてはいけない。配備反対を明言し、そして撤回させる。そのための横浜市長への要求を、わたしたちは突き付けていかなければならない」と署名運動の意義を訴えた。
 ほかに、ノースドック追及のリムピース共同代表の金子豊貴男さん、厚木9条の会の山本幸子さん、立憲民主党阿部知子衆議院議員(神奈川一二区)が署名運 動の成功を訴えた。また、パレード参加者は臨港パークからノースドックに停泊している米軍の電波探知船一隻を目の当たりにした。日本に五隻ある電波探知船はいずれも横浜ノースドックを拠点に、 遠く中国・海南島付近まで遠征し、中国海軍の潜水艦の監視活動を行なっており、目のまえの電波探知船の異様な姿は、参加者に横浜ノースドックがすでに戦争の拠点になっていることをはっきりと知 らせるものであった。
 学者七人と弁護士五人を呼びかけ人とし 六月末にスタートした揚陸艇部隊配備反対県民署名は九月末 集約である。これは、先行したわたしたち市民団体呼びかけの県民署名(現在 四〇〇〇 筆余集約)をさらに労働組合を含めて「オール神奈川」的な取り組みに高めようとするものであった。具体的には神奈川平和運動センターと神奈川憲法共同センターの共同の取り組みとして一〇 万筆を目標とした。
 しかしノースドックを知る市民・県民はまだ少なく、しかも連日の猛暑も影響して街頭では一時間で一〇 筆程度が精いっぱいという状況が今も続いている。市民団体のいくつかはこの問題のDVD上映会などを行ない署名拡大に取り組んでいるが、この現状を打開するには至っていない。また、労働組合でも個人情報の漏洩を嫌う組合員の傾向もあって苦戦しているとの報告もある。労働組合には、 ノースドック問題の勉強会を開き組合員の関心を呼び起こすような取り組みをぜひしてほしいが、残念ながらそのような報告はほとんど聞こえてきていない。こうした状況を少しでも変えるために取り組んだ9・ 10集会・パレードであったが、労働組合の共闘組織の参加はあったものの、労働組合の参加は実現できなかった。しかし署名を呼びかけた学者・弁護士からは「両組織の共闘をもっと高めなければ 差し迫っている改憲策動(国民投票)に対抗できない」との強い問題意識が示され、この認識と危機感を共有して今後とも共通の行動を優先して積み上げていくことを改めて確認しあうことができた。
 岸田政権打倒に向けた神奈川での統一戦線的基盤づくりへの模索は続く。

(『思想運動』1093号 2023年10月1日号)