沖縄訪問中、早朝四時に「ミサイル発射」のJアラート
日朝友好を促進させる決意新たに!

堀川久司(日朝友好千葉県の会)

 八月二十四日早朝、となりのベッドで眠りについていたAさんのスマホのアラーム音で起こされた。四時近くだった。なぜこんなに早い時刻にアラームをセットしたのかと少し腹が立った。ところがAさんも同じ思いだった。わたしのスマホもアラーム音を発していたのだった。
 在日朝鮮人のAさんとわたしは、八月二十三日から二泊三日で沖縄を訪問した。わたしたちが所属している会は日朝友好を促進するために全国大会の沖縄開催を企画している。元国会議員をはじめ、労働組合や市民運動を担っている方々を訪ね歩き、協力要請をするのが主たる目的だった。バスケットボールW杯開催の影響もあってモノレール沿線の多くのホテルは満室状態だったが、どうにか那覇市内でツインルームを押さえることができたのだった。
 話を二十四日の早朝に戻そう。何やら様子がおかしい。窓を開けるとアナウンスが聞こえてきた。「北朝鮮からミサイルらしきものが発射されたので屋内へ避難してください。外には出ないでください」――これを約三〇分も繰り返していた。テレビにはJアラート「ミサイル発射。ミサイル発射。……」の画面が映し出されていた。のちに防衛省は「二十四日午前四時前、北朝鮮から弾道ミサイル技術を用いたものが発射され、複数に分離したあと日本のEEZ=排他的経済水域の外側の三つの海域に落下」したと発表した。落下した時刻はそれぞれ午前四時以前である。国家権力による安眠妨害である。軽犯罪法の「静穏の罪」(一五年以下の懲役又は五〇万円以下の罰金)に当たるのではないか。
 日本政府はJアラートを発動することで「北朝鮮」の脅威を思う存分に拡散し、住民に恐怖と不安を植え付けている。そして少なからぬ住民の怒りは日本政府にではなく朝鮮民主主義人民共和国に向けられている。沖縄でもっとも危険なのは大手を振って飛び回る米軍機のはずだ。この米軍機にJアラートを適用すれば、二四時間途切れることなく警報は鳴り続けるだろう。
 岸田政権は安保三文書を改定して中国・朝鮮・ロシアを敵国と明言し、「抑止力」の強化と称して「敵基地反撃能力」の保有を宣言している。「防衛費」を二〇二七年度にGDP比二%に増額して世界三位の軍事大国になることを目論んでいる(自民党の麻生太郎副総裁は「安倍晋三が夢にまで見た法案を、岸田は一年半で成し遂げた」とうそぶいている)。日本政府はアメリカに盲従し「台湾有事」や「北朝鮮脅威」を煽りながら沖縄県下の各島に自衛隊を増強している。さらに有事に備えてシェルターの整備案をまとめ、「先島諸島」からとりかかるとしている。日本政府は憲法前文の「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうに……」を完全に無視している。
 東北アジアの平和を構築するためにも日朝友好を促進しなければならない。ふたたび沖縄を戦場にさせないために活動している県民と連帯して沖縄全国集会を成功させたい。訪問を終えたAさんとわたしは決意を新たにした。

(『思想運動』1092号 2023年9月1日号)