「安倍国葬」反対・壊憲阻止
神奈川で大衆運動をめざして
高梨晃嘉
(共同行動のためのかながわアクション代表世話人)                  

 参議院選挙は改憲勢力が三分の二を占める結果となった。今後、改憲勢力は〝黄金の三年間〟内で大軍拡と改憲発議・国民投票の動きを速めることになる。われわれは、参議院選挙をどう総括し、改憲(発議)阻止のたたかいをどう作り上げていくのか。「大方の予想通り」とか「選挙共闘体制の構築が不十分」などの抽象的な総括で終わらせてはならない。改憲勢力が二月末のウクライナ戦争以来、ウクライナへ戦争継続の支援を行ない、軍事費のGDP比倍増、敵基地攻撃能力保有、緊急事態条項創設など改憲の必要性を煽り、世論の右傾化が進行した。他方、これら反動・右傾化の動きに対抗・対決すべき野党および反戦平和運動が思想的にも運動(量)的にも崩壊とも言うべき様相の下で参議院選挙は行なわれた。この事実経過をわすれてはならない。改憲勢力が「軍事対軍事」、憲法改正などを明確に公約としたのに対して野党とその応援団は改憲勢力と真に対決、対抗する公約・路線を明確に提起できなかった。選挙の結果は〝日常活動の反映〟という点からみても、野党もわれわれも、〝敗北はみずからが招いたのだ〟という総括が必要だ。
 岸田政権と改憲勢力は、選挙後すぐに、翼賛化した世論を背景に「アベの美化・賛美」という新たな手口で、これまで以上に「大軍拡と憲法改正」への同意・翼賛に世論を追い込むとの狙いの下に、「安倍国葬」を改憲促進の有効な手段の一つとして持ち出し、九月二十七日実施を閣議決定した。それは憲法改悪の露払いのために行なわれる。
 われわれの眼前でいま進行している政治の現実は「国防がすべて」に基づく大軍拡とそのための壊憲政治の横行である以上、われわれは、憲法改悪阻止に向け、九月二十七日までに「安倍国葬」反対の世論の醸成に全力を挙げ、中止に追い込まなくてはならない。「安倍国葬」反対の声を「憲法改正」反対の声に高めていかなくてはならない。九月十九日には総がかり行動の主催で代々木公園を会場に戦争法制強行七周年中央集会が国葬反対中央集会としても行なわれる。この中央集会に向けて各地方・地域で具体的な取り組みを積み上げていくことがとりわけ必要だ。八月上旬開催の原水禁世界大会(その前段での各地で行なわれる平和行進)、八月二十三日から九月一日まで行なわれる米韓合同軍事演習反対行動(駐日米韓の領事館へ抗議と怒りの声を届ける)、年末までに改定予定の「防衛三戦略」改定反対の取り組みなど反戦平和の課題にわれわれはどうかかわり、改憲阻止のちから・団結をどう作り出していくのか、われわれも、いま正念場に立たされている。
 わたしたち「共同行動のためのかながわアクション」は「安倍国葬」反対世論を地元の神奈川で拡げるべく次のような運動を行なう。
 ①独自行動として、街宣用の横幕・チラシ・プラカードの作成、国葬反対戦争反対の声明。定例街宣やスタンディング、署名収集、シール投票。
 ②各団体による共同行動として、各団体へ「国葬反対」の意志表明と公表の呼びかけ。共同行動の呼びかけ(市民団体、労働組合、立憲野党、弁護士、学者などを対象に)。(仮称)あべ国葬を許さない共同行動実行委員会の結成。県教委、市教委、市議会等への申し入れ(国葬は憲法違反、弔意や黙とうを強制するな等)。県、市へ「悼み記帳所」を設置しないことの申しれ、設置の場合は「撤去」申し入れ。立憲野党へ共同行動への参加要請と立憲民主党へ「国葬反対」表明の要請行動。
 ③研究として、SNS活用などわたしたちの情報戦をどうすすめるかの検討。メディア対策(記者会見での取材の要請、メディア報道への批判の声をなど)。
 これまで行なったシール投票では、「国葬賛成」にシールを貼るのは圧倒的に若者が多かった。「アベ大好き」という若者も登場した。また、反対を呼びかけるチラシの受け取りも芳しくない状況が続いていることも確認している。「国葬」反対も「戦争反対」も自分の問題として受け止め考えてもらうには、どう話をすればいいのか、シール投票の集計結果報告の中でこの点の経験交流や意見交換もはじめた。神奈川での平和運動の再構築と広がりをめざし改憲阻止のための力(連帯・団結)をどう作り出していくかにこだわって、今後とも具体的に大衆運動に取り組むなかでより深めたい、とメンバーと話し合いを続けている。
                           (『思想運動』1079号 2022年8月1日号)