ルポ
国際婦人デー3・5東京集会
改憲・戦争反対! 声をあげ行動へ
三月五日、東京・連合会館において国際婦人デー3・5東京集会が開催された。初めての参加者を多く迎え、密を避けるため集会は二階会議室の間仕切りを急遽取り払い、多彩なプログラムで行なわれた。はじめに司会者は、ロシアとウクライナの間の停戦協定が進まないなか、一刻も早く話し合いによる戦争終結を訴えた。
つぎに倉田智恵子集会実行委員が「進行する改憲の危機に立ち向かい、働く権利を取り戻そう」のテーマで基調報告を行なった。
報告は、ウクライナの戦争によって亡くなった人へ哀悼の意を表することから始まった。今回のウクライナの危機をどのように見るか。
ロシアによる軍事行動は、国連憲章にも違反し批判されなければならない。しかし同時に、事態の最大要因は、ユーゴ、アフガン、イラクなど侵略戦争を繰り返してきた米国と日本を含む同盟諸国が、国際法を蹂躙してきたことにある。現在のウクライナ危機は、基本的には資本主義の枠内における戦争であり、資本主義ロシアとウクライナ政府に介入する米国、NATО、EU諸国がウクライナの市場と資源、輸送網を狙って熾烈な獲得競争を行なっていると判断できる。
日本政府と右派勢力はこの事態を利用して戦争の危機を煽っている。自民党憲法改正実現本部は、全国各地で憲法集会を開催し、参院選に勝利し、一挙に改憲の実現を目指している。米国を先頭とする帝国主義陣営の仮想敵国は中国である。中国はこの三〇年で経済・軍事面で米国をしのぐ成長をとげた。日米同盟を基軸とする日本は、米国の中国封じ込め戦略の最前線に置かれている。改憲は、帝国主義同盟の動きと連動する。
現在の日本では、差別・排外主義が広がり、朝鮮総連、朝鮮学校、また関西生コンなど闘う労組や韓国サンケン労組支援行動へ不当な弾圧・攻撃が続いている。
この右翼的な風潮は、戦争責任・植民地支配責任に、無自覚、無頓着なまま過ごした日本「国民」のなにごともあいまいなことがまかり通ることに起因する。
新潟県三幸製菓工場の火災によって深夜、機械清掃をする四人の高齢の女性が死亡した。劣悪な労働条件の下での事故だった。なぜ七〇代の女性が、深夜働かなければならないか。
報告者は、かつてクララ‐ツェトキンや山川菊栄ら社会主義者が、母性保護と女性の労働権の実現を目指して闘ってきた歴史を踏まえ、日本で禁止されていた女性の深夜業務の禁止規定がはく奪された経過を述べた。一九八五年、労基法改悪とセットになった男女雇用機会均等法の施行時、労働側は、労基法改悪阻止、保護剥奪阻止こそ運動の中心課題とすべきであったのに、「保護か平等か」の二者択一論で「平等法」を優先させた。階級的視点が欠けていた運動論は、資本側の攻撃に道を開き、労働法制の矢継ぎ早の大改悪を招いた。
最後に報告者は、女性のみならず男性も含め、軍事優先の途を阻み、働く権利を取り戻す運動を作っていくことを訴えた。
次に、元『朝鮮新報』記者の朴日粉さんが、「在日朝鮮人の民族教育と東アジアの平和について」のテーマで特別報告を行なった。
日粉さんは、在日朝鮮人にとっての民族教育の必要性と平和に生きることが民族教育の究極目標であることを強調した。そして、今の日本は「無知を奨励し憎悪と敵対を煽る」社会であり、日本政府は、植民地支配下での強制連行などの歴史を否認している。ウクライナの戦争報道についてもどこもみな同じことを言い、国論を一つにする方向に向かっていると語った。冷静な口調で現在の情勢を鋭く分析した。(要旨別掲)
休憩を挟んで「うたと小奚琴」は、ステッチ・サファの李和蓮さんの絶妙な進行で行われた。和蓮さんが「わたしたちの宝」と紹介した演奏家は、華やかな民族衣装をまとった尹慧瓊さんと河明樹さん、ルンヒャン(ピアノ)さん。あでやかで重厚でかつ繊細な弦とピアノの調べは、心に染み、たちまちいままでにない感動と興奮のコンサート会場になった。演奏曲目は、「チョンダリ(ひばり)」「チャルダッシュ」「アリラン」で、民族楽器への誇りと演奏技術の高さがうかがわれた。次にステッチ・サファのみなさんが登壇して手をつなぎ、「ハムケ(共に)」を合唱した。連帯感を共有でき、会場が一体となった企画であった。
最後に闘いの現場からの報告(詳細は別掲)として、韓国サンケン労組解雇支援で闘う尾澤邦子さんが、韓国サンケン労組の闘いの経過、および夫である尾澤孝司さんが不当逮捕され七か月半のもの長い間勾留されたことについて怒りを込めて報告した。仲間とともに支援で歌う歌を元気に披露した。
ユナイテッド解雇撤回闘争団の吉良紀子さんは、闘いの経過と併わせて、今回初めて身内の方が不当な差別にあった話をされた。吉良さんの差別に立ち向かう姿に改めて拍手を送りたい。
最後は、沖縄・辺野古新基地反対闘争から青木初子さん。小柄な体に怒りをみなぎらせて日本政府が、台湾有事、ウクライナの戦争を利用して軍事強化を進めていくこと、沖縄を再び捨て石にしようとする日米政府に反対の声を上げていくことを訴えた。
メッセージ紹介は終了時刻が迫り、名前の紹介に留まった。(全文付録に掲載)。
帝国主義陣営はこの戦争で活気づいている。戦争を必要とする資本主義の本性が現れた今こそ、戦争ができる国作りを進めてきた日本の支配層への闘いを強めるべきときである。
【編集部】
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