JAL争議の全面解決をめざす東京集会
闘いが新たな局面を作る
                       

 二月十六日、「JAL争議の全面解決をめざす東京集会」が開催された。わたしは、開始二〇分前に会場の文京区民センターに着いqたが、すでに満杯状態。長引くコロナ禍の中、集会開始前からこんなに熱気にあふれた会は久しぶりで、わくわくしながら開始時刻を待った。ズームからの集会参加者もいる。誰もが「都労委闘争はJAL争議解決のステージとなりうるか?」と題した指宿弁護士の講演を待っているのた。

これまでの経過

 二〇一〇年十二月三十一日の大みそかに、JALのパイロットと客室乗務員一六五名が一斉に整理解雇された。今年で早一一年になる。この一一年間、解雇された当事者や支援者の仲間たちは、JAL本社前で幾度となく抗議集会を開き、全国のいくつもの駅頭で支援を呼びかけるビラを撒き、霞が関の国土交通省前で「解雇は不当だ! 職場に返せ!」と訴えてきた。
 二〇一五年二月、最高裁で「整理解雇事件の地位確認の判決」が確定したものの、一六年九月には最高裁で「日本航空の争議権投票に介入する不当労働行為」という勝利判決を勝ち取った。にもかかわらず、解雇された者は、だれ一人として、職場に戻っていない。

新しい結集――方針は歴史に学び闘う

 一八時三〇分、集会がスタートした。司会、主催者、連帯の挨拶、メッセージ紹介と続き、指宿弁護士の報告が始まった。指宿弁護士は、不当解雇に納得がいかないパイロット原告三名が昨年四月に立ち上げた「JAL被解雇者労働組合(JHU)」の弁護人である。その後、客室乗務員解雇者もこの組合に加入し、現在組合員は二一名になった。 
 新しく結成した組合は、JAL経営者に団体交渉を申し入れたが、会社はこれを拒否。その後、東京都労働委員会に「不当労働行為だ!」と救済を申し立て、闘いを継続している。
 指宿弁護士は「JALに言い訳をさせない闘いをつくる」「国交省には責任がある。責任逃れを許さない」「法廷と各地の現場での闘いの結びつきが重要だ。国鉄闘争にはそれがあった」「国鉄一〇四七名解雇撤回闘争の歴史に学ぶべきだ。闘う争議団を立ち上げ、鉄建公団訴訟を提起しないで、あの和解はありえない」「闘わない形の『団結』を続けたら負けるだけ」「都労委は争議解決を正面から受け止めている」と、これからの闘いの方針を次々と示した。そして「メディアを使って闘いを広げる工夫が必要」であることを訴え、最後に「身が引きしまる思いで代理人を引き受けた」ことを報告した。
 北海道・釧路から支援に駆け付けた元国労闘争団の横田氏は「三五年前に解雇され、その後解雇撤回の闘いを行なってきた。労働者にとって解雇は最も過酷な仕打ちだ。しかし、この過酷な仕打ちに対して、もし労働組合が闘わないとなったらこれほど不幸なことがありましょうか。JHUはこれからも過酷な状況が続くでしょうが不幸ではないということを認識していただきたい」と訴え、励ましのエールを送った。
 続いて「JHU」に加盟した一九人(亡くなった客室乗務員解雇者の細井さんを入れて)が壇上に立ち、組合代表として林恵美氏が「嬉しいニュースがあります。JHUに若い組合員が加盟しました」と報告。「これまで前進あるのみで闘ってきました。JALは悪です。このような会社がお客の命を預かる公共交通機関をつかさどる資格などない。勝利するまで闘います」と決意を述べ、解決を見ずに亡くなった細井さんを偲んだ。彼女の一言ひとことが心に沁みた。
 山口団長は「解雇によって人間性をむき出しにさせられた。飛行機の安全は、知識と経験と技術です。わたしが一九七二年に入社してから七三一人の方が事故で犠牲になっています。JALは、経験あるパイロットや客室乗務員を解雇し、まったく真逆のことをやっている。勝つまで闘いますので皆様よろしくお願いします」と、力強く熱く決意表明を行なった(相変わらずギャグも入れつつ)。
 中部全労協の青柳氏は実行委員会代表として「解雇者の中にはすでに七〇歳を超えた方がいます。早期に全面解決をめざさなければなりません。この解雇は明らかに労働組合つぶしです。利益を上げるために、組合をつぶし、解雇されたのです。その歴史の連続です。質・量とも今まで以上の闘いを展開することが必要であり、早期全面解決が必要です」と、さらなる支援の強化を訴えた。
 最後に、客室乗務員で解雇された下村さんの元気な掛け声で、参加者一同が「コロナも吹っ飛ばせ!!」とばかりに「頑張ろう!!」の声を上げ、集会は終了した。
 支援の第一歩は、まずはカンパだ。
 【村上理恵子】