米韓合同演習の強行に抗議する
米帝との闘いが東アジア人民共通の課題 
                       

 八月十六日より米韓合同軍事演習が始まった(事前演習は十日から開始)。今回の演習は、コンピューターシュミレーションを中心とした指揮所演習とされるが、中身は朝鮮民主主義人民共和国(以下、朝鮮)に対する先制攻撃と指導部除去を含む武力侵攻を想定しており、その侵略的本質は変わらない。われわれは、朝鮮半島の緊張緩和と平和実現の願いを踏みにじり社会主義朝鮮の転覆をめざす合同演習の強行に断固抗議する。
 軍事演習強行に対し朝鮮労働党の金英哲統一戦線部長は、八月十一日に談話を発表、「同族との和合ではなく外部勢力との同盟を、緊張緩和ではなく緊張激化を、関係改善ではなく対決という道を選択した」と韓国当局を非難するとともに、「北南改善の機会を自らの手でなくし、われわれの善意に敵対行為で応えた対価をはっきりわかるようにしなければならない」と警告した(関連記事四面)。
 日本のメディアはいっさい報じないが、この合同演習に対する若者たちの抗議行動が八月に行なわれた。『朝鮮新報八月二十日付によると、6・15共同宣言実践南側委員会の青年学生本部と6・15日本地域委員会の青年学生協議会(朝青、留学同、韓青同などが参加)が、ソウルと東京で合同演習中止を求める同時行動を展開、日本では米国大使館前で抗議文を読み上げる行動が行なわれたのをはじめ、大阪・神戸、札幌、福岡の米国総領事館への抗議デモも実施された。
 一方、バイデン政権発足後、アメリカ帝国主義は、中国との対決路線を強め、東アジアとインド太平洋地域において「同盟国」と合同で中国を仮想敵とした大規模な軍事演習を繰り広げている。
 自衛隊が参加した事例を示そう。陸上自衛隊は、五月十一日から六日間の日程で米海兵隊、仏陸軍とともに離島の防衛を想定した合同訓練を九州で行なった。仏陸軍の日本国内での訓練参加は初めて。六月十八日から七月十一日、陸上自衛隊と米陸軍が過去最大級の実働訓練(オリエント・シールド21)を全国七か所の駐屯地や演習場などで実施、両軍三〇〇〇人の兵員が参加。七月十四日、日米英豪とカナダ、韓国、ニュージーランドが豪州国内と周辺海域で共同訓練、陸自は離島防衛専門の「水陸機動団」を派遣。
 今季の軍事演習の特徴は、従来から参加している日本や豪州などのほかに新たにNATO加盟の英、仏、独の軍隊が加わったことだ(独は十一月にフリゲート艦を日本に派遣する予定)。いまや米帝国主義の世界戦略に追従・同調して主要帝国主義国が総出で中国に対する軍事的包囲網づくりに参画しているのだ。
 この九月でサンフランシスコ講和条約と日米安保条約の締結から七〇年を迎える。一九四八年、朝鮮半島の北側には朝鮮民主主義人民共和国が成立し、翌四九年には国共内戦に勝利して中華人民共和国が誕生する。そして両国を支えるソ連邦が存在した。そうした当時の情勢を踏まえ、米帝国主義はこの二条約によって日本に東アジアにおける反共軍事ブロックの要としての役目を背負わせた。さらに韓国とも一九五三年に米韓相互防衛条約を結び同様の役割を担わせた。その本質・基本的構造は七〇年を経た現在も変わらない。米韓合同演習も米国と日本をはじめとした帝国主義軍隊との合同演習もその真の目的は、中国と朝鮮の社会主義国家の転覆をはかることだ。それは、西半球で初めての社会主義国キューバに対して仕掛けられた転覆攻撃と同質のものだ。朝鮮労働党がイニシアチブをとって呼びかけたキューバ共産党への連帯決議(一面に掲載)には、反帝闘争を最前線で闘う共産主義者の衿持が漲っている。東アジアにおける平和の敵は社会主義の敵、米帝国主義だ。そのことを肝に銘じ中朝人民をはじめアジア諸国人民と連帯し帝国主義の戦争政策と闘おう。
【大山 歩】