土地規制法成立強行を糾弾する
わたしたちは黙らない!
                          

 「重要土地調査規制法案廃止!」をもとめるスタンディング等の闘いが、本法案の衆議院審議入りの五月十一日から国会閉会の六月十六日まで、沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック主催で議員会館前にて取り組まれた。国会中継放送を皆で聞き、シュプレヒコールで座り込みの声を国会にぶつけた。リレートークや歌、踊り、沖縄民謡に耳を傾け、ほっとする時間もあった。退職者の労働組合、多くの市民団体や個人の参加で、日によって差はあったが、三〇~一〇〇人程度が集まった。五月二十八日官邸前「衆議院での強行採決の暴挙に抗議する集会」(一〇〇名参加)、六月八日官邸前「緊急集会」(二〇〇名)、六月十五日参議院議員会館前「共同呼びかけ〈沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック、フォーラム平和・人権・環境、たんぽぽ舎、重要土地調査規制法案反対緊急声明事務局、重要土地調査規制法案を廃案にする全国超党派自治体議員団、安保破棄中央実行委員会〉大抗議アピール」(三五〇名)等の集会もあった。
 正式名称「重要施設周辺および国境離島等における土地等の利用状況の調査及び規制等に関する法律案」は、すべての要件があいまいで政令か首相の判断に委ねられている、国家権力のフリーハンド法だ。審議で内容が明らかになるにつれ、全国すべての基地や原発周辺で被害を受けている地域住民を監視し、声をあげる住民を恫喝して黙らせる法であり、なかでも沖縄をまるごと監視し、基地反対運動をつぶし、軍事要塞にするための悪法であることが鮮明になった。プライバシーを侵害しデジタル法と連動する。土地・建物の所有者やその周辺の「利用者その他の関係者」に情報提供が義務づけられ、従わなければ処罰される。調査は日本全国に住む人びと全体が対象だ。住民の間に不信を持ち込み、密告を強いる。
 思想良心の自由を保障した憲法一九条、自由権規約一八条に反する恐ろしい法律だ。
 六月十日、三人の大学生がリレートークに参加し、「住みよい社会にするためには不断の努力が必要とこの場で学んだ。世代の上の人だけに任せず若者もやらなくては」「環境問題をやっているが、これまで知らなかった政治も学び自分の考えを発信していく」と発言した。法案の問題が徐々に知られるようになり、六月十四日に内閣委員会が三人の参考人質疑を行なった。
 自民党は参考人質疑後に委員会採決を主張した。立憲、共産、国民、社民の四党が内閣不信任決議案を出したため、六月十五日は、衆・参議院の審議がすべて止まっていた。午前中のリレートークのなかで、「マスコミは現状をトップニュースで伝えない。シュプレヒコールの声をメディアに伝えさせよう。NHKに電話しよう! TBSや日テレのテレビ局にも抗議しよう! この声を報道する義務がある」との訴えがあり、電話かけをした。その日午後一時からの「大抗議アピール」の集会に、NHKの報道記者の姿があった。功を奏したのかもしれない。夜八時頃、参議院本会議が始まった。雨も降る緊迫したなかで「悪法は廃案に!」の声を叫び続けた。沖縄の風・伊波洋一参議院議員が会議を抜け報告に来て「強行採決されるかもしれない。
 沖縄の人は黙っていない。これからですよ」と言われた。
 六月十六日午前二時二八分「重要土地規制法」は参議院で可決され成立した。
 十六日のシュプレヒコールは「重要土地規制法撤廃!」「宮城秋乃さんへの弾圧やめろ!」「命どぅ宝!」の声を響かせた(返還後の基地で回収した米軍廃棄物をゲート前に置くなど基地の自然破壊に抗議してきた蝶類研究者の宮城さんが、六月四日に不当な家宅捜査を受けたのは土地規制法の先駆けと指摘されている)。一坪反戦地主会関東ブロックの大仲尊さんの挨拶は、「強行採決された法案そのものの問題が多すぎる。法律の中身を食い破り、食いちぎる闘いをこれから始める。
 一つ一つ潰していく知恵を出し合おう」だった。リレートークで印象的だったのは二〇代の青年の発言だ。「強行採決された午前二時半まで座り込んでいた。悔しい。この法案は夜中まで審議したが、コロナ対策は深夜まで審議したことはあるんですか」と。
 辺野古の海には岸から五〇m沖に進入禁止のオイルフィンスが張られている。今後規制は強まるだろう。それでもわたしは萎縮せずに辺野古の海上抗議行動に乗り出したい。
 あの美しい大浦湾に土砂を投入させないぞ! と決意を新たにした。勝つ方法はあきらめないことだ。
【大舘まゆみ】