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国際婦人デー3・6東京集会盛会裡に開催
コロナ禍で激化する女性への攻撃と闘おう

                         
 三月六日、東京・文京区民センターにて、国際婦人デー東京集会が開催された。昨年に続き新型コロナウィルス感染症対策のため、マスク着用や消毒の徹底、休憩時間の換気などを行なった。一九七九年から行なっているこの集会は今年四三回目を迎えた。
 広い会議室が美しく飾り付けられ、素晴らしいポスターが参加者を迎え入れてくれた。参加者の年齢層はかなり高く、若い人たちに訴えかけていくのが今後の課題だろう。一方で男性の参加者が多かったのは特筆すべき点だ。
 まず最初に実行委員会が「コロナ禍を口実にした女性への差別・攻撃と闘おう」とのテーマで基調報告を行なった。コロナ禍は、シングルマザーや非正規雇用の女性の生活を直撃している。「解雇・雇い止め」は、厚生労働省の発表では九万人に上るが、実際の数はもっと多いはずで、その多くは、飲食業、小売りサービス業で働く女性だ。年度末である今月末には、さらに大量の失業者が出ると予想される。加えて野村総研の調査によると、女性のパート・アルバイトでシフトが半分以下に減り休業手当も支払われない「実質的失業者」が一〇三万人いると推計されている。
 コロナ禍でも、労働者の権利を守ったのが、東京東部労組大久保製壜支部だ。社員にコロナ感染者が出たとき、同じ現場の労働者を全員休ませ、PCR検査も受けさせた。賃金も全額支払わせた。一九七五年の大闘争を経て一昨年の重大労災でストライキを行なった労働組合の存在が経営者を動かした。人命を軽視することを許さない闘いがこれまであったからだ。
 菅政権は、コロナ対策よりも経済を優先させ、逆にコロナ特措法に罰則規定を盛り込むなど、国民の命と暮らしを守るつもりはまったく感じられない。コロナ感染終息の見込みがないまま、日本政府・東京都・関係団体は、東京オリンピック開催の趣旨を「東日本大震災からの復興」から「人類がコロナに打ち勝った証し」とねじ曲げ、強行の構えだ。そんな中で、森喜朗オリンピック組織委員会前会長の傲慢な女性差別発言が出て、開催国日本の無見識ぶりが世界に知れ渡ることになった。それをきっかけに「ジェンダー平等」が叫ばれるようになったが、注意が必要だ。
 政府・独占資本がこれまで進めてきた「男女共同参画・ジェンダー平等」は、働く女性全体の底上げにはつながらず、結果として、雇用・税・社会保障などの改悪に利用されてきたからだ。闘って勝ち取ったものでなければ、女性のためのものにならない。女性を苦しめている権利の不十分さ、地位の低さや、封建的な因習などは社会経済的なシステムに根がある。根本的な原因である資本主義体制を変えない限り、差別がなくなることはない。
 世界各地で懸命に闘う女性たちに連なろう。一九一〇年、クララ‐ツェトキンが提唱した、反戦・平和と女性の働く権利の確立を目指す国際婦人デーの精神を継承し、戦争と差別の原因である資本主義を打ち倒すために目の前にある攻撃を跳ね返していこう。
 続いて、朝鮮大学校大学院生でシンガーソングライターの宋知香さんが、朝鮮人差別と闘い南北朝鮮の統一を求める歌など、三曲を披露した。
 二年前の同集会に続いての登場で、参加者の中には再会と彼女の成長ぶりを喜ぶ人もいた。歌の合間には、ともに闘う決意が述べられ、満場の拍手を得ていた。
 この集会には、世界労働組合連盟、ギリシャ共産党、フィリピン共産党(PKP‐一九三〇)、韓国・労働社会科学研究所、駐日キューバ共和国大使、駐日ベネズエラ大使、在日本朝鮮民主女性同盟、在日韓国民主女性会の八団体から連帯メッセージが寄せられており、その紹介がなされた(付録に全文掲載)。そして、今集会の中心プログラムは、闘いの現場からの報告であった(付録に要旨掲載)。

●幼保無償化を求める闘い 宋恵淑さん(朝鮮幼稚園保護者連絡会)

 高校無償化から朝鮮高校が除外されて一〇年。差別は幼稚園にも及んだ。あらゆる場面でわたしたちは公然と差別されている。明日高校の卒業式があり、また無償化を適用されずに終わる卒業生を出すことは腹立たしい。でもこれから日本社会で活躍するかれらが、引き続き後輩たちのために闘ってくれているのは誇らしい。みなさんの支援にも感謝している。

福島原発事故から一〇年、そして東海第二原発の危機について 横田朔子さん(とめよう!東海第二原発再稼働阻止 首都圏連絡会世話人)

 東日本大震災では、家を失い、生業を失い全国で避難生活を送っている人がいる。福島のことでわかったとおり、原発はいったん事故が起こったら取り返しがつかない。東海第二原発の再稼働阻止の運動をしているが、どこにあるかも知らない人が多い。首都圏のすぐ近く(茨城県)だ。脱原発の運動は困難もあるが、立ち止まる選択肢はない。

●コロナ禍でのフリーランスの闘い 広浜綾子さん(出版ネッツ)

 コロナの影響で、雑誌の休刊や企画の中止等で仕事がなくなった、収入が激減したという声が多い。取り引き先が倒産・休廃業しても、雇用労働者と違って何の保障もない。取材や撮影の際にコロナに感染しても労災と認められない。労働者でないとして労基法の適用を受けられない。厚労省に申し入れをするなどしている。

●沖縄基地問題 山野澄子さん(沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック)

 辺野古の海に土砂が投入され続けている。軟弱地盤が発覚し、防衛省は設計変更申請せざるを得なかった。それに対する不承認は県知事の権限だ。なんとしても埋め立て中止に追い込もう。署名活動や駅頭宣伝をしている。辺野古の問題を本土の人にまず知ってもらうことが大切だ。

●ユナイテッド航空解雇撤回闘争 吉良紀子さん(闘争団)

 史上最大の利益をあげていた航空会社が、わたしたち一二名を組合差別でピンポイントで解雇した。仕事が大好きで一生懸命働いてきた。とうてい納得できない。それから五年、解雇は不当だとして裁判闘争をしている。コロナの影響で成田での行動は中断しているが、昨年十月には銀座デモを行なった。沿道の温かい目を感じた。最後に参加者全員が「もうひとりに伝えていくこと」の大切さを確認して閉会となった。
【藤本愛子】