8・27最高裁決定糾弾! 朝鮮の子どもたちに無償化を適用せよ
小さな同胞までも差別するのか
朝鮮の幼稚園を無償化から排除するな


文科省前での大阪のオモニの訴え

 九月二十日(金)、一六時過ぎの東京・文部科学省前「わたしは大阪から来ました。朝鮮高校に通う子のオモニです。先日、見知らぬ男から『朝鮮に帰れ!』と罵声を浴びせられました。わたしの祖父は強制連行で日本に連れてこられ、一九四五年の解放直後には少ない財産も没収されました。祖国の言葉もわかりませんでした。こんな状況でどうして帰れるでしょうか!」
 彼女の訴えは続く。「今、わたしは怒りと悲しみでいっぱいです。朝鮮高校が無償化から排除され続けているうえに、今度は、朝鮮学校附属幼稚園に通う子どもたちが無償化から排除されようとしています。わたしたち在日も同じように消費税を払っているのに、なぜいつまでも差別するのですか!」と。発言の後、一斉に「そうだ!」の声と拍手だ。この日、文科省前には大勢の朝鮮大学校の学生たちが集まっていた。かれら・彼女らは高校の三年間、無償化から排除されてきた当事者たちである。そしてさらに、小さな同胞までもが差別されようとしている。かれらも、発言したオモニと思いは同じであろう。毎週金曜日、東京・文科省前の「朝鮮高校生無償化排除反対!」(高校は、二〇一〇年四月から排除)の抗議行動に、また新たな「抗議」事項が加わってしまったのである。

高校に続き付属 幼稚園も排除

 二〇一七年、安倍首相は「一○%の消費増税について、その使途を広げ幼児教育の無償化など新たな歳出拡大の財源に充てることを問う」と、強引に衆議院を解散。再選された安倍は、急速に進む少子高齢化を「国難」と呼び「人づくり革命」を行なうと称して、幼児教育の無償化を表明した。
 十月から消費税が八%から一〇%になり、その増税分で「認可保育所に入所する三~五歳児」と、「公立保育所や認可施設に入所を希望しても入所できず、やむを得ず認可外に入所した」子どもに、月三万五千円を上限とする助成が行なわれようとしてる(〇歳~二歳児への無償化は、住民税の非課税世帯に限られた)。
 さかのぼって九月六日、東京・世田谷区で保育に関する緊急セミナーが開催された(セミナーでは区や民間の保育事情が報告された)。そこで朝鮮学校附属の幼稚園に子どもを通わせる母親が「無償化対象には、インド・中国・朝鮮など八八校の外国人学校は含まれません。税負担は、日本に住む者みんなが行なっていることなのにおかしい。昨年から今年の五月まで、認可外保育園・ベビーホテル・私立幼稚園の保護者など幅広くヒヤリングが行なわれたのに、わたしたちのような『各種学校』に当たる施設の関係者には一度もなく、現地調査もありません。またまた排除です。仲間外れにしないでほしい!」と訴えた。
 彼女たちは、小さい子どもを抱えながらも訴えるチャンスがあれば、どこへでも出かけているのだ。
 しかし、九月に入って新聞・テレビ等で「保育料無償化」の問題が取り上げられているが、「各種学校排除」に関しての報道は見ていない。
 八月末に、最高裁は、東京と大阪で闘われてきた朝鮮高校「無償化」裁判で原告敗訴の不当決定を下した。
 わたしたちは、「朝鮮高校を排除するな!」と同時に「幼稚園の排除も許すな!」の声も上げていかなくてはならない。【村上理恵子】

(『思想運動』1045号 2019年10月1日号)