「ベネズエラを知る集い」盛会裡に開催!
一六八名の参加で成功
伊高浩昭氏の報告と映像上映
七月七日(日)JRお茶の水駅近くの明治大学リバティータワーの一四〇人教室で、講演と映像「ベネズエラを知る集い」を開催した。小雨の降るなか開場前から三列の受付に列ができ開場時刻を早め、一三時に開会した。教室は満席となりパイプ椅子を追加し一六八名の参加となった。
主催は「ベネズエラを知る集い」実行委員会。今年三月から計七回の実行委員会を開催し個人・団体に賛同を呼びかけ集会を準備してきた。呼びかけで次のように述べた。
「今年一月、国会議長だったグアイド氏がアメリカの後押しを受けて暫定大統領就任宣言をして以降、マドゥーロ現大統領支持勢力とグアイド支持勢力の間で対立が深まっています。
わたしたちは、このベネズエラをめぐる状況を憂慮し、①外部勢力の介入反対、②真実を知り伝える――ことを共通項にして集まった有志です。
いまベネズエラでなにが起きているのか? はたして日本のマスメディアが伝えるベネズエラ報道は真実なのか? このことを考える集いを行ないます。」
この賛同呼びかけに個人三七人、三団体から賛同を頂いた。
ベネズエラの歴史と現状を報告
「ベネズエラを知る集い」は実行委員会の土松克典さんの司会で開会し、実行委員会の田端広英さんの主催者挨拶の後、「ベネズエラ問題の深層」のテーマでラテンアメリカ研究者・ジャーナリストの伊高浩昭さんの講演(九〇分)が行なわれた。伊高さんの講演はA4*二枚のレジメを基に行なわれ、参考資料として「ベネズエラで何が起きているか」(伊高浩昭、『世界』二〇一九年四月)と「論点:混乱続くベネズエラ」(『毎日』四月十三日、伊高浩昭、坂口安紀)が配布された。
講演は伊高さんが一九七二年に初めて訪れた時のベネズエラについての印象報告から始まり、一九五八年市民と軍の蜂起によるヒメネス軍事独裁政権の打倒以後の歴史、シモン‐ボリーバル思想が果たした役割の紹介と続いた。
そして、チャベス大統領が一九九八年の大統領選挙で勝利し翌年の大統領就任式で、従来、大統領就任式で就任する大統領は聖書に手をおき宣誓してきたが、チャベス大統領は聖書を使わず「新しい憲法をつくる」と改革を宣言したと述べた。以後、チャベス政権、マドゥーロ政権と続く歴史のなかで、一貫して米国が攻撃をしかけベネズエラの革命政権を打倒をしようとしてきた事実を具体的に紹介した。
短時間の休憩の後、二本の映像上演(三〇分)が行なわれた。駐日ベネズエラ・ボリバル共和国大使館発行のリーフレットから写真を映像化し音楽とともに上映した『写真で見るベネズエラ案内』(杉本茂樹製作)と、人びとが国内外の脅威に対峙するために革命を守ろうとする状況を伝える市民軍の訓練や参加者へのインタビューを行なったドキュメンタリー『革命を守る』(レッドフィッシュ製作)である。
日本の銀行も違法行為に加担
最後に講師・伊高さんとの質疑応答がありそのなかで次の発言があった。
質問 なぜ日本人は運動に立ち上がらないのでしょうか。
伊高 わたしたちは今の状況に満足しているのでは。生活に本当に困っていなのではないか。
司会 一人一人が考えなければならない課題である。
質問 バチェレ国連人権高等弁務官が七月五日ベネズエラに関して報告書を発表した。国連は米国寄りなのか。この報告書は正しいのか。
伊高 ベネズエラ政府はこの報告の聞き取り調査の八割がベネズエラ国外に居住する人に対して行なわれていることや、米国がベネズエラに対して実施している経済封鎖について何ら考慮していないことなどを批判している。事実を知り、判断していくことが重要だ。
質問 フェイクニュースについて聞きたい。また、ベネズエラの人びとはどう判断しているのか。
伊高 イシカワ駐日ベネズエラ・ボリバル共和国大使がフェイクニュースについて具体的に数多く暴露している。米国メディアに米国政財界から資金供与がある。また、ワシントンで米国政府の公式発表があるがそれが全世界を駆けめぐっている。それらのニュースについて情報を集め判断をしていく必要がある。ベネズエラの人びとは冷静に判断し論議をしている。ある意味でフェイクニュースに免疫ができている。
集会の閉会にあたり司会者が次の事実を指摘した。世界一七か国の四九金融機関がベネズエラの金融資産を違法に所持し続けている。その金額上位第四位に三井住友銀行が位置している。不当な行為を暴露し糾弾していく必要があると。【沖江和博】
(『思想運動』1043号 2019年8月1日号)
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