働き方改革関連法の成立強行を糾弾する
労働運動の階級的再建・再生を
六月二十九日、参議院本会議で、労働時間規制の適用除外となる高度プロフェッショナル制度の創設を含む働き方改革関連法が可決成立した。われわれは、この改悪法の成立を断固、糾弾する。
繰り返し指摘してきたとおり、働き方改革法は、労働時間規制の適用除外を法的に認容する高プロ、過労死ラインを上回る水準での時間外労働の上限規制、格差賃金を固定化し企業を訴訟リスクから解放する「同一労働同一賃金」、そして雇用されない働き方の普及促進など、労働者人民の運動と闘いの歴史がつくりあげてきた労働法規制を解体しようというものだ。
二十八日の参院厚生労働委員会では、自公両党も賛成して四七項目もの附帯決議がなされた。このこと自体が審議の不十分を明らかにしているわけだが、附帯決議という形の譲歩をしてでも労働法改悪をスムーズになし遂げたかった政府・独占の執念を見てとらなければならない。われわれに意気消沈している暇はない。
同法の二〇一九年四月施行に向けて、高プロの対象業務や年収要件等を具体的に定めるための労働政策審議会が直ちにスタートする。監視し周知を強めることが必要だ。
経団連、日商は可決後直ちに、裁量労働制の対象業務拡大の早期実現を求める会長、会頭コメントを出した。奴らは攻撃の手を緩めていない。
六月十五日の「経済財政運営と改革の基本方針二〇一八」(いわゆる骨太の方針)では外国人労働者の大幅な受け入れ拡大が、「未来投資戦略二〇一八」では解雇無効時の金銭救済制度(解雇規制の緩和)がはっきりと打ち出された。労政審基本政策部会は六月末の報告で、雇用類似の働き方について保護の必要性の有無から今後検討するとしたが、独占は早くも「労働者性の解釈拡大に反対」との姿勢を鮮明にしている。
政府・独占の攻撃は系統的で組織的だ。そして、きわめて階級的だ。
引き続く労働法制改悪攻撃を打ち破り、天皇家の儀式やオリンピック等を梃子とした右翼ナショナリズムへの勤労人民の意識の収攬や、進行する壊憲攻撃を阻止する闘いは、労働運動の階級的再建・再生の闘いと一体でなければならない。
われわれは、この間の労働弁護団等の努力によって培われた、ナショナルセンターの枠を超えた共同行動をさらに広げ強めるよう力を尽くそう。その基盤となる、職場における労働組合の規制力の再建と、労働者が団結して資本に対峙する権利意識、階級意識の確立のためにともに奮闘しよう。【吉良 寛・自治体労働者】
(『思想運動』1025号 2018年7月1日号)
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