南北・朝米首脳会談の開催合意を支持・歓迎する!
人民こそが統一と平和の主体である
平昌冬季オリンピックを契機に、朝鮮半島の非核化と平和確立にむけた動きが加速している。
金正恩・朝鮮労働党委員長兼朝鮮民主主義人民共和国国務委員会委員長が今年一月一日の「新年の辞」で南北関係の改善と平昌オリンピックへの代表団派遣の意思を表明して以降、わずか二か月あまりのあいだに事態はおおきく動き、現在もその渦中にある。
朝鮮、和平攻勢に転ず
二月九日の平昌オリンピック開幕式には朝鮮民主主義人民共和国(以下、朝鮮)の選手団と高位級代表団をはじめ海外同胞(そこには朝鮮総聯や韓統連などの在日朝鮮人組織も参加していた)をふくむ応援団が参加、金正恩委員長の文在寅大統領あて親書を携えた金与正特使をつうじて南北首脳会談の提案が南側に伝えられた。三月五~六日には、この北側からの高位級代表団派遣への返礼として、南側の大統領特使団が平壌を訪問し金正恩委員長と面談、四月末の南北首脳会談開催で合意した。さらに南の特使団メンバーは金正恩委員長のトランプ大統領あて親書を携え米ホワイト・ハウスを訪問、トランプ大統領に訪北報告を行ない、五月中の朝米首脳会談開催の同意を取り付けた。そして現在、この韓国特使団メンバーは二手に分かれて中国・ロシア・日本の周辺諸国首脳に訪北・訪米報告を行なっている。
反帝闘争の典型示す
われわれはこの南北首脳会談と朝米首脳会談開催にむけた動きを歓迎する。そして、朝米対決の危機的状況から、一転してアメリカを対話の場に引き出した朝鮮の胆力に賛辞を送る。朝鮮をして、こうした行動をとらせた背景には、核開発とその運搬手段の実験による飛躍的な向上がある。
さきの「新年の辞」で金正恩委員長は次のように報告した。「昨年、われわれは各種の核運搬手段とともに、超強力熱核兵器の実験も断行することで、われわれの総体的志向と戦略的目標を成功裏に達成し、わが共和国はついにいかなる力、何をもってしても逆戻りさせることのできない強力で頼もしい戦争抑止力を保有することになった。/わが国家の核武力は、米国のいかなる核の威嚇も粉砕し、対応できるし、米国に冒険的な火遊びをさせないように制圧する強力な抑止力となる。/米国は決して私とわが国家を相手に戦争を仕掛けられない。」(『朝鮮新報』より)と。
こうした戦争抑止力を自前で担保して、今回は一転してアメリカにたいして和平攻勢に出たのである。ここに、われわれはソ連邦倒壊後の社会主義国・社会主義志向国が生き残りをかけて自力で闘いぬくひとつの典型をみる。
いま南米ベネズエラでもアメリカによる執拗な政権瓦解工作が仕掛けられている(本紙今号五面参照)。アメリカ(そして日本も)は、その帝国主義的本性において社会主義を容認しないのであり、機あらば転覆瓦解させようと虎視眈々と狙っている。そのベネズエラは朝鮮とインターナショナルな友好関係を結び、反帝闘争の最前線で闘いを続けている。非暴力革命を展望するわれわれは、この社会主義朝鮮の闘いに学びつつ、そして朝鮮がベネズエラやキューバとプロレタリア国際主義的な連携をとりつつ、反帝闘争を継続している事実を念頭において、われわれ自身の社会主義をめざす闘いを考えなくてはならない。
人民こそが主体
今後四月の南北首脳会談、五月の朝米首脳会談にむけての準備が南北と米国をはじめ、中国、ロシア、そして、足を引っ張ることしかしない日本の周辺三か国をも巻き込んですすめられていくが、これまで話がまとまりかけると、それを破たんさせる謀略行為が、戦争危機を継続することでカネ儲けしてきた米軍産複合体やCIAなどの謀略機関から繰り返されてきた。偽札「スーパーノート」事件しかり、「天安艦沈没」事件しかり。今後も楽観は許されないだろう。われわれは今回の朝鮮半島の非核化・平和にむけた動きを支持し、それを破壊する動きを封じ込める南北、そしてわれわれをふくむアジア人民の闘いをおおきく創り出すことが求められている。
文在寅政権について言えば、民主労総の韓相均・前委員長を拘束したままであることに象徴されるように、韓国独占資本の意向を代弁する政権であることは前提としながらも、二〇一六年の「朴槿恵退陣ろうそくデモ」を背景に登場してきた政権であることからすれば、人民が文在寅政権をして朝鮮半島の非核化・平和実現の行動をとらせるように押し上げていくことが求められる。
一九七二年の「7・4南北共同声明」発表の際、われわれは「人民こそ統一の主体」(南基執筆、『思想運動』第三六号―一九七二年八月一日発行)と主張した。南北連席会議の開催から七〇年の今年、まさに「人民こそ統一の主体」であることの原点を見すえ、南北朝鮮人民の今後の闘いの推移を注視し、日本の地でわれわれがなすべきことを行なっていきたい。
われわれの課題
われわれがなすべきこと、それはなにか? それは、なにより今回の二つの首脳会談合意にいたる動きを「最大の圧力を加えたことによる成果」と捻じ曲げてしぶしぶ認めざるを得ない首相安倍・外相河野などの牽強付会な態度、その外交政策の破綻を徹底的に暴くことである。
いま、「森友文書」の書き換え、隠蔽工作が国会で取り上げられ、国会周辺や全国各地で真相徹底究明を要求する人民の怒りの声があがっている。この闘いや壊憲阻止の闘い、沖縄反基地の闘いのなかに、朝鮮半島の非核化・平和の課題を意識的に提起し、朝鮮半島有事を意図的に煽り壊憲・戦争国家化をおし進めてきた根源が安倍政権や「日本会議」勢力にあること(諸悪の根は一つであること)を暴露し、これを打ち倒す闘いを起こしていくことだ。
朝米関係の正常化、すなわち朝鮮戦争の「停戦協定」を「平和協定」に転換し、朝鮮半島の非核化を成し遂げる闘いは、在韓米軍の撤退問題とも連動し、ひいては沖縄をはじめとする日本駐留米軍の存在、アメリカの「核の傘」の問題にまで影響を及ぼさずにはおかない。したがって、朝鮮半島の非核化・平和確立の課題は、他国のことではなく、戦前戦後を貫通する日本人民の課題でもあるのだ。南北朝鮮人民は統一にむかって、そして核のない平和な朝鮮半島の実現にむかって、力強い歩みをはじめた。
われわれは、朝鮮民主主義人民共和国にたいする認識をただし、海外をふくむ南北朝鮮人民と連帯して、まずは南北首脳会談、朝米首脳会談が成功裡にすすむよう、四月と五月、日本の地で全力を尽くそう! 【土松克典】
(『思想運動』1018号 2018年3月15日号)
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