2018国際婦人デー3・3東京集会に参加を!
日本社会を覆う「戦時体制」に抗し今こそ女性は反戦の声を上げよう!


 平昌オリンピックを契機に、一月九日、朝鮮民主主義人民共和国と大韓民国の南北高位級会談の共同報道文が発表されて以降、南北対話が急速に進んでいる。しかし、日本政府とマスコミは、河野太郎外相の「ほほえみ外交に目を奪われることなく」などという、蔑視感と敵愾心を露骨にあらわす発言や、在特会もどきの韓国保守勢力の騒ぎや、五輪の進行の荒さがし、朝鮮女子応援団の動向などを小馬鹿にしつつ興味本位に流すばかりで、南北双方の平和に向けた努力をまともに扱わない。
 それは南北和平の動きが進み、極東アジア、朝鮮半島の軍事的緊張が弱まれば、安倍政権がこれまで日本社会の極反動化、改憲、防衛費増強の口実にしていた「日本の安全保障環境の厳しさ」の一大要素がなくなるからだ。それゆえに、今後も平和に向けた南北の対話と交渉が進めば、安倍首相らはさらに、あらんかぎりの妨害を画するだろう。

朝鮮半島に平和を!

 二月十二日の韓国紙『ハンギョレ』の社説は、南北首脳会談がなしとげられた場合のその後の重要なこととして、「非核化のほかにも、離散家族の対面、軍事的緊張緩和のための実質的な方法、休戦ライン一帯の軍事的衝突防止などを協議すること」をあげ、「どれ一つとっても容易なものではないが平和と和解の時代のためには、必ず経なければならない道であり、文在寅政府は、国民を信じて朝鮮半島の平和のために一歩一歩踏み出すことを願う」と結んでいた。対話と交渉によって朝鮮半島の平和・統一が実現することを、わたしたちは心から願う。それを妨害する日米そして韓国の支配勢力に対して、わたしたちは反朝鮮の心ない声のうずまく日本の地で、これに強く抗議し、日朝・日韓連帯の運動をつくりださねばならない。
 文大統領は、安倍首相が二月九日の日韓首脳会談で「米韓軍事演習を予定通り進めることが重要だ」と述べたことに対して「われわれの主権の問題で内政問題だ。首相がこの問題を直接取り上げるのは困る」と断言した。
 財閥と癒着し、二〇一五年末の理不尽な日韓「慰安婦問題合意」を発表した朴槿恵政権を倒すため、二〇一六年の秋、韓国民衆は数次にわたる一〇〇万人を超える大衆行動を展開し朴槿惠をひきずり降ろし、文在寅大統領の登場を実現した。文大統領が「内政干渉」とはっきりと言える背景には、多くの組織された労働者や、民主的な市民団体などの存在があるからだ。
 いかに困難に見えようとも、いかに徒労と思えようとも、具体的かつ実践的に米日韓の戦争勢力と闘ってこそ、初めて平和と民主主義は勝ち取ることができる。特定秘密保護法、安保法制、共謀罪の成立、そして明文改憲への明確な意志表示。安倍政権の下、日本社会の準戦時体制ができあがっている。身動きがとれないほどがんじがらめに締め上げられている日本人民の意識と運動を建て直すためにも、わたしたちは隣国の人民の闘いとそれを生み出した歴史をしっかりと見据え、自分たちはどのように生き、行動していくのかを考えなければならない。

「慰安婦」問題の底には

 日本軍「慰安婦」制度をめぐる「日韓合意」の履行を、八割の日本人が支持しているという。この感情と認識は、安倍政権による中国・朝鮮脅威論が受け入れられる状況と根底において通じている。
 平昌五輪開会式の始まる直前の日韓首脳会談で、安倍首相は、「合意」について相も変わらず「国と国との約束であり政権が変わっても約束を守るのは国際的かつ普遍的に認められた原則だ」と繰り返した。それにたいして文大統領は、一月十日に発表した「合意に対する新方針」の通り、「慰安婦問題は、政府間の取引の交渉で解決できるようなものではない。慰安婦問題の真の解決のためには両国政府が引き続きともに努力していかなければならない」ことを強調した。
 日本のマスコミは両首脳会談を「平行線」と伝えたが、文大統領の言葉通り、「慰安婦」問題は国家間の外交取引のレベルの問題ではない。植民地支配下の天皇を頂点とした日本軍隊制度の責任が問われる、歴史的、かつ現在も進行している問題である。日本帝国主義の敗北と日本国憲法の誕生にもかかわらず、天皇制が残されたことによって日本国家の責任が明確にされず、侵略戦争・植民地支配にたいしての「国民」の認識があいまいにされた。これこそが現在の日本人の無責任・無理解の「元凶」である。

中国・朝鮮「脅威」論の氾濫と闘おう!

 二月五日、安倍首相が衆院予算委員会で「国民投票で否決でも自衛隊は合憲」と豪語していた日、佐賀県陸上自衛隊目達原駐屯地所属の戦闘ヘリが同駐屯地から離陸七分後に墜落した。沖縄米軍基地で頻発するヘリ事故の他にも、本土の自衛隊基地周辺でも事故相次いでいる。それが「大事」にならないのは、これに抗議する声が組織できていないからだ。大袈裟な話ではなく、いまや日本の空は、特に基地周辺はいつヘリ事故等がおきるかわからない状況にあると言っていい。児童やお年よりまで動員して「北朝鮮のミサイル発射にそなえて避難訓練」する荒唐無稽なJアラート騒動よりも、米軍・自衛隊の行動による事故を無くすほうがはるかに緊急な問題だ。
 かつてアジア太平洋戦争で「銃後を支えた女性たち」が盛んに読んだ婦人雑誌には、戦意高揚のための評語が随分と並べられていた。「働き方改革は家族と生活に喜びを見出します」。これはいま盛んに見かける安倍政権推奨のキャッチフレーズだが、これが、その時代の宣伝文句のあり様と非常に似ている。資本が国際的な競争に生き残るため(そのためには戦争もやる)には、安い労働力の活用がまず必要で、労働者全体の働き方を変えながら女性や、高齢者をいかに有効活用するか、それがどのようにすれば支障なく進められるかが研究・実行される。政府は、そのために法整備をし、宣伝媒体を使って働くものの意識を戦争遂行体制へと統合していくのだ。
 わたしたちは、日本政府が中国・朝鮮「脅威」論を利用して戦争への道を突き進むことに反対するために、今年も国際婦人デー集会を開催する。今回は、朝鮮半島和平の動きを心から歓迎し、現在もっとも重要な日朝人民との連帯を目指して、在日本朝鮮民主女性同盟中央本部から梁玉出副委員長を招いて特別講演を予定している。
 国際婦人デー3・3東京集会に参加し、いま日本社会で起きている現実を直視し、どうしたらこの状況を変えていくことができるかを考え、ともに行動する日としたい。集え、国際婦人デー集会3・3東京集会に! 【倉田智恵子】

(『思想運動』1016号 2018年2月15日号