辺野古埋め立て違法工事をただちに中止せよ! 琉球弧の島々の軍事要塞化に反対する!
<ルポ>名護市長選目前の辺野古現地へ

新基地建設阻止で団結強める沖縄


 一月二十三日から二十六日まで、辺野古の米軍キャンプ・シュワブ前で座り込みに参加した。二十三日は積雪の羽田空港を朝早く発ち、ゲート前に到着したのは午後二時である。昼間は七七台のトラックが搬入されたこと、午前中に逮捕者が一人出たことをテントで聞く。
 埋め立てのための砕石を積んだダンプカーやコンクリートミキサー車が工事用ゲートを出入りするのは、現在はたいてい午前九時・一二時・午後三時の一日三回だ。逮捕されたのは七八歳の元県会議員(共産党)で、座り込んでいたのではなく、朝九時のトラック搬入のとき自分の車でトラックの前をノロノロ運転する形で抵抗していた。そのさい機動隊員の身体に車体が触れたとして運転席から引きずり出されて公務執行妨害にひっかけられたという。名護市長選挙に悪影響を与えることも意図しての不当逮捕である。
 座り込みが終わった夕方、わたしたちは名護警察署に向かった。その二階に勾留されているのである。昼間の座り込みの進行役だった大城悟さん(沖縄平和運動センター事務局長)がマイクを握り、逮捕された人を励ますように声に力を込める。詰めかけた人びとのなかに車椅子の老女がいる。島袋文子さんだ。沖縄戦で大やけどを負い、遺体の浮いた池の血が混じった泥水を飲んで生き残った。沖縄反基地運動を象徴する人である。
 彼女もマイクで、目の前に黙って立っている警官に、時に語気を強めながら戦争が地獄であることを諄々と説く。
 なお勾留は翌日の夕方に解かれ、わたしたちは警察署前で身柄を迎え入れた。
 二十三日の夜は稲嶺進・名護市長の三選を目指す決起集会が開かれた。市長選挙の投開票日は二月四日に迫っている。会場の21世紀の森屋内運動場は三八五〇人の参加で埋め尽くされ、すごい熱気だ。ここでは連合と全労連も同じ檀上に並ぶ。翁長雄志・沖縄県知事、つい二日前おこなわれた南城市長選挙で政府寄りの現職を六五票差で破った瑞慶覧長敏さんが稲嶺さんと三人しっかり手を握り合った。
 そして同時に行なわれる市議補選には安次富浩さんが急遽立候補する。ヘリ基地反対協共同代表である安次富さんの補選立候補は、市長選挙の争点が辺野古新基地建設を許すか否かであることをいっそう明確にするだろう。
 二十四日のゲート前での進行役は「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」共同代表の高里鈴代さん。グアムから来た三人の若い女性から発言を受ける。同島のアンダーセン米軍基地に実弾射撃場を整備する計画が進んでいるが、そこは先住民にとって大事な土地であり貴重な水源もある。グアムは米国の準州で住民は「二級市民」扱いされ、合衆国憲法における権利もすべてが保障されている状態ではない。沖縄と連帯して闘っていきたい……。
 わたしが辺野古にいた四日間のうち、たとえば二十四日はのべ二一五台の工事車両が基地内に入った。座りこんでいるわたしたちを機動隊員がごぼう抜きする。引きずり出すのが祖父母くらいの年齢の相手だと丁寧にやっているようにも見えるが、なかには痛いようにわざと腕をひねって持ち上げる奴もいる。わたしも一度それをやられた。巧妙な暴力である。そうしてトラックが通過できる幅を確保し、搬入が始まる。つぎつぎゲートを通過していくダンプを見ていると無力感にとらわれそうにもなるけれど、しかしトラックに積まれた石材にしてもてんこ盛りにすることはできない。過積載を追及する闘いが積み上げられてきたことが縛りをかけている。海は浅いところばかりではないのだ。埋め立てるのに必要な土砂の量は沖縄県庁舎七〇棟分だという。連日交通渋滞を引き起こしながら何百台搬入したところで、この調子では工事を進める側だって気が遠くなる思いだろう。くわえて大浦湾に流れ込む美謝川の流路変更など名護市長の同意を要する工事がある(本紙二〇一七年十二月十五日号掲載の金治明さんルポ参照)。基地反対の姿勢を揺るがせぬ稲嶺市長をだからこそ権力側は引きずりおろしたい。
 首都圏で運動に取り組んできた〈辺野古への基地建設を許さない実行委員会〉の、現地の人たちが市長選に力を傾注できるよう座り込みに参加しようという呼びかけに応じての辺野古行きだった。稲嶺さん必勝を希いながら二月四日を待つ。 【土田宏樹】

(『思想運動』1015号 2018年2月1日号