くり返される沖縄での米軍機事故に断固抗議する!
本土の労働者階級・人民は、日米両政府、〝悪しき隣人〞在日米軍を許さず行動を!


 十二月十三日、沖縄・普天間基地に隣接する小学校の校庭に米軍ヘリの窓枠(重量約八キロ)が落下し、小石が児童の腕に当たる事故があった。同型のCH53Eは十月に高江で墜落事故を起こしたばかりだ。一歩間違えれば子どもが死ぬ環境に常時置かれている父母の怒りや恐怖ははかり知れない。

沖縄県民の怒りを無視する日米政府

 翁長県知事はまたもくり返された事故に怒りをあらわにし、米軍と日本政府にすべての米軍機の総点検とその間の飛行中止を申し入れた。また、普天間基地を抱える宜野湾市議会は、十五日午前、事故に抗議する決議と意見書を全会一致で可決し、この日予定していた一般質問を延期して、二五人の市議全員が決議文を持って在沖米軍や沖縄防衛局などを訪問して直接抗議した。
 にもかかわらず、米軍はオスプレイなど他の米軍機を平然と飛ばし続け、わずか六日後の十九日には、「事故は人為的ミスで機体には問題はない」などとして、同型CH53Eの飛行をも再開した。日本政府と防衛省は形式的な原因説明を受けただけでこれを容認した。
 飛行再開を受け、翁長知事は二十日にコメントを発表し、米軍に対しては、「保育園・小学校という、子どもたちにとって一番安全であるべき場所で、重大な事故をくり返し発生させたにもかかわらず、わずか六日で飛行再開を強行した米軍の姿勢は、県民の理解を得られるものではなく、良き隣人とは到底呼べません」と指弾、日本政府に対しても、「飛行再開を容認した政府の姿勢は、県民に寄り添うものとはかけ離れており、今後事故がくり返された場合の責任は、米軍はもとより、日本政府にもあると言えます」と断罪した。
 そもそも日米合同委員会でも、できる限り学校、病院の上は飛ばない、という合意があるが、実態は野放しだ。被害にあった小学校の校長に面会した在沖縄米軍幹部は、「最大限 、上空を飛ばない」としか確約しなかったという(傍点は筆者)。
 過ぐる一年余を見ただけでも、二〇一六年十二月十三日、МV22オスプレイが名護市安部沿岸で墜落。同日、同機が普天間基地に胴体着陸。二〇一七年一月二十日、うるま市伊計島の農道上に攻撃ヘリAH1Zが不時着。以降も、AV8Bハリアー攻撃機やМV22オスプレイも墜落・不時着をくり返してきた。そして、十一月三十日には飛行訓練中のF35A戦闘機からパネルが落下、きわめて短期間に米軍機事故が頻発してきたのだ。

事故被害者への中傷・攻撃を許さない

 さらに許しがたいことに、事故被害にあった学校に対し「事故はやらせではないか」「沖縄人は戦闘機とともに生きる道を選んだのだろう」などと中傷する電話が相次いでいるという。十二月七日にCH53Eの落下部品が見つかった保育園にも、メールや電話を使った同様の攻撃がかけられている。こういった卑劣な嫌がらせの裏には、増長を続ける極右勢力と、それらを養成する日米の治安機関の策動があるとしか思えない。そこには被害者を恫喝して口を封じるほかに、沖縄への差別的な意識を広げ、やり場のない憎悪を挑発し、他府県の住民との分断を図って沖縄を孤立させる狙いが貫かれている。児童の生命をおびやかしながら米軍が行なっているこれらの訓練は、「安全保障」という名の下に行なわれる、中東および朝鮮侵略のための準備だ。米日の権力機構にとっては、基地周辺の住民の被害を隠し、反対運動を抑圧することに何のためらいもない。

「命(ぬち)どぅ宝」の思想を体現する沖縄

 暴力に対して暴力を対置することは究極的な解決にはならない。沖縄の反基地闘争は「命どぅ宝」の非暴力の思想を根底に据え、非妥協的に闘い抜かれている。しかし、この米日支配階級による執拗な暴力支配に対する本土日本人民の闘いの弱さが、沖縄県民の人権を踏みにじり、さらに朝鮮が核武装をせざるを得ない状況を促進させている現実を、われわれは直視すべきだ。
 名護市では十五日に、オール沖縄会議が主催する「欠陥機オスプレイ墜落から1年!抗議集会」が約三〇〇〇人を集めて開催され、今回の事故に対しても激しく抗議した。沖縄県議会は二十一日に、学校や保育園、病院、住宅などの民間地上空での米軍機の飛行・訓練の中止や、普天間飛行場の五年以内の運用停止の実現などを求める抗議決議と意見書を全会一致で可決した。また落下部品の見つかった保育園は米軍機の飛行禁止を求める署名を全国に呼びかけている。今、多くの人びとが個別バラバラに分断された社会状況にあって、こうした沖縄の動きに即座に呼応することは難しいかもしれない。
 しかし、厳しい条件のなかにあっても全国各地で抗議行動や署名などが呼びかけられている。そこに参加すべく職場や学園、地域で討議し行動へつなげていこう。
 東京MXテレビの番組「ニュース女子」が高江でのヘリパッド反対運動を虚偽の内容でおとしめた件で、十四日に放送倫理機構・番組向上機構(BPO)が「重大な放送倫理違反があった」との意見書を出した。番組放送直後から、MXテレビに対する市民の抗議活動が粘り強く取り組まれていたからこそだ。マスコミも市民の監視を顧慮してか、この間の事故と米軍の傍若無人さ、沖縄県民の置かれている苦しみについて、多少なりとも報道しないわけにはいかなかった。
 一月二十四日には、警視庁機動隊の沖縄への派遣の違法性を問う住民訴訟裁判が、東京地裁の一〇三号法廷で開かれる。裁判の傍聴に結集しよう。そして今こそ、一人でも多くの人びとが、沖縄現地の基地建設阻止行動に駆けつけよう。 【野田光太郎】

(『思想運動』1014号 2018年1月1日-15日号