朝鮮への「テロ支援国家」再指定弾劾!
戦争の危機つくり出す米軍産複合体


 トランプ政権は、今年の四月米下院が、朝鮮民主主義人民共和国(以下、朝鮮と略す)に対し、「テロ支援国家」再指定を米国政府に勧告する法案を可決していらい、その政治的挑発の機会をうかがってきた。現地時間十一月二十日に発表された「テロ支援国家」再指定は、六者協議において朝鮮が核施設の稼働停止を盛り込んだ合意文書の採択をうけて、ブッシュ政権が指定解除(二〇〇八年)をしてから九年後の措置となった。
 トランプは朝鮮を「残忍な政権」と決めつけ、よりきびしい制裁と懲罰を放言している。「今回の措置に続いて北はもちろん、北と取り引きする国々と個別の人物らに対する最高水準の追加制裁と圧迫措置が連続して取られるだろう」というのだ。先のトランプ訪日によって、朝鮮敵視と中国包囲網を軸とした日米同盟強化と米国からの武器購入による軍事力強化が鮮明となったことからも、米政権の朝鮮への圧力強化にたいする安倍の「歓迎と支持表明」は、朝鮮半島情勢をより緊迫化させるものであり断固糾弾されなければならない。
 朝鮮外務省は、「あらゆるテロの元凶である米国が自国内でのテロも防げない状態で、『国際テロ裁判官』にもなるかのように他の主権国家に『テロ支援国』のレッテルを貼りつけたり、削除したりすること自体が理に合わず、世界の平和と安全に対する愚弄である。」と語り、朝鮮に核政策の推進を余儀なくさせた張本人は米国自身であると、つぎのように闡明した。「われわれの核は、半世紀以上にわたって持続してきた米国の極悪非道な対朝鮮敵視政策とわれわれに対する核威嚇に対処してわれわれの自主権と生存権、発展権を守るための抑止力であり、米国の対朝鮮敵対行為が続く限り、われわれの抑止力はさらに強化されるであろう。」(『朝鮮中央通信』二十二日付)
 きわめて異例な三空母を投入しての大規模軍事演習といい、今回の「テロ支援国家」再指定といい、トランプ政権は朝鮮敵視政策をかつてなくエスカレートさせている。そこからは、矛盾深まる国内政策への人民の不満、その矛先を外部にそらす、危機に瀕した権力者たちの常套政策を見ることができる。このことは「北朝鮮の脅威」を「国難」と呼びヒステリックな朝鮮攻撃を続ける安倍政権も同じだ。
 そして、米政権が朝鮮半島の軍事的緊張をつくり出すもう一つのねらい、それは端的にいって金儲け、米国の軍産複合体の利潤増大の欲求を満たすためである。そのことを露骨に示したのが今回のトランプのアジア歴訪=武器売り込み外交だ。
 首脳会談でトランプは安倍に対し「首相は大量の米国製軍事装備を購入するようになるだろう。そうすればミサイルを上空で撃ち落とせるようになる。F35戦闘機でもミサイルでも米国から買えば、米国で多くの雇用が生まれ、日本はより安全になるだろう」といった趣旨の話をしたというが、あからさまな押し売り行為である。これに対し、安倍は、「安全保障環境が厳しくなる中、質的にも量的にも拡充していきたい」と、「北の脅威」を口実に米国製武器の購入拡大を約束した。安倍が具体例として挙げたのは、イージス艦に搭載する改良型迎撃ミサイル「SM3ブロック2A」とF35戦闘機であり(十一月六日の共同会見)、いずれもべらぼうな購入価格が問題となっている装備である。こうした動きをうけ、十一月二十一日には自民党や希望の党などの国会議員でつくる「ミサイル防衛に関する議員連盟」が二年半ぶりに会合を開き、新型の迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の導入を促進することなどを決めた。F35は一機約一五〇億円(これを四二機購入予定)、「イージス・アショア」は一基約八〇〇億円になる。
 米国からの武器購入は、二〇一二年の第二次安倍政権発足以降増加しており、「防衛予算」=軍事予算も五年連続の増額だ。軍拡の進行はイコール軍需産業の利潤増大である。B‐ブレヒトが「戦争案内」で活写したごとく、戦争を真に欲しているのは、資本家階級であり帝国主義国家なのだ。 【逢坂秀人】

(『思想運動』1012号 2017年12月1日号