「共謀罪」法案の廃案求め座り込み
労働者が闘って葬り去ろう!
「共謀罪」法案を廃案とすべく十二日から始まった衆議院議員会館前すわり込みの初日、東京は今年になってから最高の二八・三℃で、初夏を通り越して夏本番が来たかのようだった。
銀杏の伸びてきた若葉が陽射しをほどよくさえぎってくれる。五五万三〇〇〇筆の反対署名を提出して座り込んだ。歩道に労組、市民団体の旗が立ち並ぶ。約四〇〇人の結集である。「沖縄を返せ」や「座り込めここへ」が歌われ、コールのときは三線がリズムをとる。辺野古や高江の果敢な闘いが運動全体を引っぱってきた構図がこういうところにも覗える。運動リーダーの長期勾留など共謀罪をまさに先取りした攻撃を権力が沖縄に集中している所以である。
目につくのは警備の警官の物々しさだ。右の腰に拳銃を吊るし、左に警棒を挿しての完全装備で目の前を行き来する。平和的な座り込みに配置するに以前から拳銃まで携行していただろうか。安倍晋三は「一般人は(共謀罪の)対象にならない」とごまかすけれど、政府方針に反対して国会に押しかけてくるようなのは権力にとってはすでに普通の市民ではなく犯罪者集団なのだ。
だから、共謀罪の正体を知るには、実際に国家権力とふれあう現場に来てみるのが一番てっとり早い。座り込みはその格好の場である。同時に、そこで学んだことをわたしたちの職場・生活点に持ち帰りたい。このかんの「働き方改革」なるものの迷走は、月八〇時間とか一〇〇時間の過労死ラインまで労働者を働かせなければまわらないような日本経済の状況を示した。
ということは、たとえストライキまで打てずとも時間外労働を拒否するだけだってわが国支配階級は音を上げてしまうということではないか。労働組合の指導部はダメでも労働者階級そのものはそれだけの力を持っているのである。
共謀罪はなるほど個人の内心の自由を侵害するものだが、だからといって個人としてだけこれに対峙することはない。労働者として仲間とともに闘い、葬り去ろう。
議員会館前すわり込みは当面十九日まで毎日続く。連日午後四時まで。十九日は六時半から国会正門前での行動もある。さらに闘いの本番はこれからだ。【神田五郎】
(『思想運動』1001号 2017年5月15日号)
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